基礎教育学コース スタッフ紹介 コースのWEBサイト

田中 智志(たなか さとし) 教授
教育臨床学
専門は、教育概念史と教育臨床学です。教育概念史は、教育の営みを枠づける基本的な概念を歴史的に把握する試みです。教育臨床学は、生きるとはどういうことかと問いつつ、よりよい教育の営みを模索する試みです。教育概念史としては、これまでに人間形成概念,社会性概念をとりあげてきました。現在は近代以前にさかのぼり、完全性概念に取り組んでいます。教育臨床学としては、関係性、倫理感覚、共存在を中心にあれこれ模索しています。
代表著書:
- 『共存在の教育学―愛を黙示するハイデガー』(東京大学出版会)
- 『教育思想のフーコー―教育を支える関係性』(勁草書房)

小玉 重夫(こだま しげお) 教授
教育人間学
教育における人間と政治,社会との関係を思想研究によって問い直すことを研究テーマとしています。特に,ふだん自明のものとしてうけいれられている「教育」や「学校」を,歴史的・構造的な視点から相対化し,そのうえで,教育改革の筋道を追究していくことが,当面の研究課題です。具体的には,教育の公共性に関する思想研究,公共性の担い手を育てるシティズンシップ(市民性)教育,政治的リテラシーの問題などに,関心をもっています。
代表著書:
- 『教育改革と公共性――ボウルズ=ギンタスからハンナ・アレントへ』(東京大学出版会 )
- 『シティズンシップの教育思想』(白澤社)
- 『教育政治学を拓く』(勁草書房)

山名 淳(やまな じゅん) 教授
教育哲学
専門は教育哲学・思想史研究です。人間が環境に働きかけ,そこに< 文化> を生み出しつつ,その< 文化> が人間に作用し返すような力動性を想像してみます。この力動性を主役として世界を眺めるとき,通常は人間を主役として理解される教育がいかに捉え直されるのか,ということに関心があります。Bildung 概念とその飜訳問題,都市と学校のアーキテクチャ問題,「新教育」の理論と実践,記憶と想起の教育学(メモリー・ペダゴジー)などを具体的な考察の領野としつつ,この課題に取り組んでいます。
代表著書:
- 『都市とアーキテクチャの教育思想』(勁草書房)
- 『夢幻のドイツ田園都市』(ミネルヴァ書房)
- 『災害と厄災の記憶を伝える』(共編著,勁草書房)

小国 喜弘( こくに よしひろ) 教授
教育史
学校教育に関する言説・制度・実践などを歴史的に対象化することを目的とし、日本教育史の研究に取り組んできました。特に1945年を画期とする戦前から戦後にかけての教育方法の特徴をナショナリズムとの関連に焦点をあてて読み解くことを課題としています。学校教育の変革期にある今、戦後の学校教育の理論的背景となってきた「戦後教育学」を批判的に検討し、新たな教育学の可能性を模索したいと考えています。
代表著書:
- 『戦後教育のなかの<国民>――乱反射するナショナリズム』(吉川弘文堂)
- 『民俗学運動と学校教育――民族の発見とその国民化』(東京大学出版会)

隠岐 さや香(おき さやか)教授
教育史
高等教育・研究について制度史および科学思想史の両面からアプローチしています。主に欧州の18 ─ 20 世紀を中心に,学問や芸術は「役に立つ」ものであるべきか否かといった議論の発展過程や,文系・理系を含めた分野ごとの考え方や文化の違いを思想史的に検証しています。また,大学やアカデミーなどの教育・研究の組織がいつ,どのように出現したのかについて,社会史的・経済史的に考察することを行っています。
代表著書:
- 『 「役に立たない」研究の未来』(分担執筆,柏書房,2021)
- 『文系と理系はなぜ分かれたか』(星海社,2018)
- 『 科学アカデミーと「有用な科学」 フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ』(名古屋大学出版会,2011)

片山 勝茂(かたやま かつしげ) 准教授
教育人間学
対立する複数の価値観が並存しながらも、自由で平等な市民が協力して維持する、正義に適った安定した民主的社会はいかにして可能か。ジョン・ロールズが残したこの問いに教育学の立場からアプローチするべく、「教育と人間と社会のあり方」を考察しています。特に関心を持っている教育のフィールドは、多文化社会イギリスと日本におけるシティズンシップ(市民性)教育と道徳教育です。
代表著書:
- Education and Practice: Upholding the Integrity of Teaching and Learning(Blackwell Publishing)(分担執筆)
- 『道徳教育の可能性――その理論と実践』(ナカニシヤ出版)(分担執筆)
- 『英国の教育』(東信堂)(分担執筆)

大塚 類(おおつか るい) 准教授
教育臨床学
専門は臨床現象学です。被虐待、不登校、発達障がい、慢性疾患といった様々な〈生きづらさ〉を抱えている幼児から高齢者を対象とした、フィールド調査やインタビュ―調査を行ってきました。現象学の知見に基づく事例研究を介して、人間の本質的な在りようを描き出すことと、自分自身や他者の認識を変えるという意味での〈教育〉の方途を探ることを目指しています。
代表著書:
- 『施設で暮らす子どもたちの成長』(東京大学出版会)
- 『あたりまえを疑え!――臨床教育学入門』(新曜社)(共著)
- 『エピソード教育臨床――生きづらさを描く質的研究』(創元社)(共編著)
- 『さらにあたりまえを疑え!――臨床教育学2』(新曜社)(共著)