教育実践・政策学コース スタッフ紹介 コースのWEBサイト

牧野 篤(まきの あつし) 教授
生涯学習論
教育や学習の営みを通して人間と社会を考える
人が生活を営み,成長していく過程に現われる様々な事象を通して,社会のあり方を考え,人が幸せに暮らすために何ができるのかを考えることに関心があります。曖昧な人間と社会を対象とするが故に曖昧な学問である社会教育・生涯学習は,その曖昧さが魅力です。そこから,フィールドは子どもの成長の社会的な意味,少子高齢社会における学び,東アジア地域のコミュニティー教育,そしてまちづくりなど,無限に広がっていきます。
代表著書:
- 『認められたい欲望と過剰な自分語り―そして居合わせた他者· 過去とともにある私へ―』(2011 年)
- 『生きることとしての学び―2010 年代· 自生する地域コミュニティと共変化する人々―』(2014 年)
- 『社会づくりとしての学び―信頼を贈りあい,当事者性を復活する運動―』(2018 年)
- 『公民館はどう語られてきたのか―小さな社会をたくさんつくる・1』(2018 年)
- 『公民館をどう実践してゆくのか―小さな社会をたくさんつくる・2』(2019 年)
(すべて東京大学出版会)
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李 正連(い じょんよん) 教授
社会教育学
社会教育とは何か、という問いにすぐ答えられる人は、研究者の中でもそれほど多くないと思います。社会教育はよく「ごった煮」といわれているように、その対象及び教育(活動)の内容や方法、場所なども非常に多様で、広いです。では、このような「社会教育」という言葉はいつから使われ始めたのか。その用語の起源をはじめ、近代社会教育の成立と展開について研究をしています。そして、最近は日韓の社会教育・生涯学習の政策や教育福祉問題、草の根教育・学習運動などにも視野を広げて検討しています。
代表著書:
- 『韓国社会教育の起源と展開―大韓帝国末期から植民地時代までを中心に―』(大学教育出版,2008)
- 『日本の社会教育・生涯学習-新しい時代に向けて-』(共編著,大学教育出版,2013)
- 『社会教育福祉の諸相と課題―欧米とアジアの比較研究―』(共著,大学教育出版,2015)
- 『国家主義を超える日韓の共生と交流』(共編著,明石書店,2016)
- 『躍動する韓国の社会教育・生涯学習―市民・地域・学び―』(共編著,エイデル研究所,2017)

新藤 浩伸(しんどう ひろのぶ) 准教授
生涯学習論
人間の生涯にわたる成長・発達における多様な学びの意味を、表現・文化活動、芸術活動を中心に研究しています。さらにそのための環境をどう支援し創造していくか、イギリスなどとの比較も視野に入れつつ、日本の公共ホールや博物館などの文化施設、教育・文化政策、文化産業の歴史に即して調査しています。人が暮らしの中で楽しみ、学び、変わり続けることで創造されていく社会や文化の形を、フィールドの中で恊働的に、また歴史的にも探求したいと考えています。
代表著書:
- 『表現・文化活動の社会教育学』(共著、学文社、2007)
- 『公会堂と民衆の近代―歴史が演出された舞台空間』(単著、東京大学出版会、2014)
- 『地域学習の創造―地域再生への学びを拓く』(共著、東京大学出版会、2015)
- 『成人教育と文化の発展』(監訳,東洋館出版社,2016)
- 『触発するミュージアム―文化的公共空間の新たな可能性を求めて』(編著,あいり出版,2016)
- 『地域に根ざす民衆文化の創造―「常民大学」の総合的研究』(編集委員,藤原書店,2016)
- 『文化政策の現在』(全3 巻,共著,東京大学出版会,2018)

影浦 峡(かげうら きょう) 教授
図書館情報学
そもそも言語において考えることとは何かを研究しています。その大枠の中で,メディア/言語の分布構造を分析し,近代の図書館が実現しようとしてきた理念とはどのようなものだったのか,それはどのようなメディアと言語の配置を前提としていて,その前提はこれからどのようになっていくのか,といった問題を考えつつ,メディアや言語の理論からリテラシーの実践・工学的応用まで,いろいろやっています。オンライン翻訳者支援システム「みんなの翻訳」(http://trans-aid.jp/),教育システム「みんなの翻訳実習」(http://edu.trans-aid.jp/)も運用・公開しています。
代表著書:
- The Dynamics of Terminology(John Benjamins, 2002)
- 『子どもと話す言葉ってなに?』(現代企画室,2006)
- 『3.11後の放射能「安全」報道を読み解く』(現代企画室,2011)
- The Quantitative Analysis of the Dynamics and Structure of Terminologies(John Benjamins, 2012)
- 『信頼の条件ー原発事故をめぐる言葉』(岩波,2013)
- Comment on “Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51months after the Fukushima NPP accident(series): 1.”(2020, 共著)https://arxiv.org/abs/2001.11912

河村 俊太郎(かわむら しゅんたろう) 准教授
図書館情報学
図書を中心とするメディアを通じて、学問などの知識が近代以降どのように形成されてきたのかについて、図書館という組織の視点から見ていくことに関心があります。具体的には、図書館の蔵書が歴史的にどのように構築され、学問や教育に対してどのような役割を果たしてきたのか、図書館がどのように他の図書館や社会などから影響を受けつつ独自の組織を構築し機能してきたのか、さらには図書館間でどのようなネットワークが構築されているのかについて研究しています。
代表著書:
- 『図書館情報学教育の戦後史―資料が語る専門職養成制度の展開』(分担執筆,ミネルヴァ書房,2015)
- 『東京帝国大学図書館』(東京大学出版会,2016)

宮田 玲(みやた れい)講師
図書館情報学
一定のまとまりを持った知識の社会的な伝達を可能にする図書や文書といったメディアに注目し,その生産・編成・流通・提供のプロセスを高い解像度でモデル化することを目指しています。これまで「できる」けれども「説明できない」形で専門家の暗黙知に留まっていた文書デザイン,執筆,翻訳に関する知識を,科学的な認識の対象として明確化し,共有可能にすることが中心的な課題です。また,機械翻訳等の言語処理技術を活用した行政文書や産業文書の多言語展開に関する応用研究にも取り組んでいます。
代表著書:
- Controlled Document Authoring in a Machine Translation Age(Routledge,2020)
- Metalanguages for Dissecting Translation Processes(共編著, Routledge,2022)

勝野 正章(かつの まさあき) 教授
教育行政学(所属は「大学院学校開発政策コース」)
分権改革と市場原理の導入が進行するなかで、従来の学校管理・運営とは異なる学校経営(ガバナンス)の諸様式が現れはじめています。学校経営研究の課題はまず、国や自治体の政策や制度に強く規定されつつもローカルな関係のなかで生成している、このような学校経営の実態と様式を分析し説明することです。そのうえでさらに学校が教育機関であることに由来する固有の経営論理を改めて析出していくこと、学校経営過程の組み換えを志向する教職員をはじめとする学校当事者とともに実践的・開発的・共同的研究を進めていくことを目指しています。さしあたって現在、次のような研究テーマに取り組んでいます。
●民主主義と協働の原理に基づく学校づくり
●学校における成果主義の受容と変容
●教職員の同僚性と教育専門職としての成長
代表著書:
- 『教育課程改革と教師の専門職性』(訳書,学文社,1998)
- Education in Japan(Springer, 2019)Co-editior
- 『新訂 教育行政と学校経営』(共著,放送大学教育振興会,2020)
- Teacher Evaluation Policies and Practices in Japan(Routlege, 2016)

村上 祐介(むらかみ ゆうすけ) 教授
教育行政学(所属は「大学院学校開発政策コース」)
現代民主政治における教育政策・行政は高度な専門性が求められる一方で,政治家や市民による民主的統制も必要とされています。しかし,この二つの要素は両立しがたい側面があり,どのように両者の調和を図るかが問われています。こうした観点から,戦後日本の教育行政の特質を検討すると同時に,民主的統制と専門性の在り方が教育政策に与える影響を分析しています。
理論・方法論的側面に関しては教育学・教育行政学のみならず,政治学・行政学などの社会科学諸領域から積極的に学ぶことを重視しています。教育と他の政策領域との比較の視点を交えながら,教育政策領域の特徴と独自性を明らかにしたいと考えています。
代表著書:
- 『教育行政の政治学―教育委員会制度の実態と改革に関する実証的研究』(単著,木鐸社,2011)
- 『教育政策・行政の考え方』(共著,有斐閣,2020)
- 『新訂 教育行政と学校経営』(共著,放送大学教育振興会,2020)
- 『教育の行政・政治・経営』(分担執筆,放送大学教育振興会,2019)

橋野 晶寛(はしの あきひろ)准教授
教育行政学(所属は「大学院学校開発政策コース」)
教育行財政および教育政策の政治的・経済的側面を研究対象としています。教育という営みに対して社会から課せられる要求や目標は無限にある一方で、その実現のためには資源(予算、人員、時間)は有限でしかありません。その資源の有限性・希少性ゆえに、必然的に、政策の決定・実施プロセスにおいて民主性、効率性が要求されることになります。こうした民主的かつ効率的な政策がどのような仕組みの下で達成されうるのか、そもそも民主性や効率性を教育分野においてどのように捉え、そしてどのように測るのかといった問題意識の下で、理論的・実証的研究に取り組んでいます。
また、所謂「エビデンスに基づいた政策(形成)」についても強い関心を持っており、政策評価の手法の検討のみならず、政策・政治過程における研究(者)の影響・役割についても考察を進めています。
代表著書:
- 『教育政策・行政の考え方』(共著、有斐閣、2020)
- 『現代の教育費をめぐる政治と政策』(単著、大学教育出版、2016)

北村 友人(きたむら ゆうと)教授
人文社会教育(所属は「大学院教育内容開発コース」)
グローバル化時代における教育のあり方について、政治・経済・社会などとの関わりのなかから理論的および実証的に明らかにすることを目指しています。そのために、アジアの途上国を主なフィールドとした学校教育の充実に関する研究、「持続可能な開発のための教育(ESD)」に関する研究、高等教育の国際化と国際協力に関する研究などに取り組んでいます。これらの研究を通して、教育の公共性とは何であるのかという問題について、深く考えていきたいと思っています。
代表著書:
- 『〈岩波講座〉教育 変革への展望 グローバル時代の市民形成』(編著, 岩波書店, 2016)
- 『国際教育開発の研究射程―「持続可能な社会」の実現へ向けた比較教育学の最前線―』(東信堂, 2015)
- The Political Economy of Schooling in Cambodia: Issues of Quality and Equity(共編著, Palgrave Macmillan,2015)
- Emerging International Dimensions in East Asian Higher Education(共編著, Springer, 2014)

藤江 康彦(ふじえ やすひこ) 教授
カリキュラム研究(所属は「大学院教職開発コース」)
学校における子どもや教師の学習と発達およびそれを支える環境のあり方について,教育方法学,教育心理学,学習科学などの研究知見に学び,学校でのフィールドワークやコンサルテーションを行いながら追究しています。授業における談話空間の社会文化的構成と子どもの学習との関係,校種をつなぐカリキュラムのあり方,そのカリキュラムのもとでの子どもや教師の学校参加や活動,組織のあり方,などに関心があります。現在は,小中一貫校の学校づくりや校内研究体制づくりのフィールドワークをおこなっています。
代表著書:
- 『小中一貫教育をデザインする:カリキュラム・マネジメント52 の疑問』(編著,東洋館出版社,2019)
- 『これからの質的研究法:15 の事例にみる学校教育実践研究』(共編著,東京図書,2019)
- 『21世紀の学びを創る:学習開発学の展開』(共編著,北大路書房,2015)

浅井 幸子(あさい さちこ) 教授
カリキュラム研究(所属は「大学院教職開発コース」)
教育実践をさまざまなアプローチで研究しています。一方では,明治以降の小学校教育や幼稚園・保育所の保育について,教室における教師と子どもの関係と経験がどのように語られ構成され意味づけられたかということを検討してきました。もう一方では,小学校の校内研修や,幼稚園・保育所の園内研修に参加し,授業改革や学校改革に学びながら,それを支えうる理論の探究を行なってきました。近年は,教育ドキュメンテーションを中心に,レッジョ・インスピレーションの幼児教育の理論・実践・政策の展開をたどる仕事をしています。
代表著書:
- 『教師の語りと新教育』』(東京大学出版会,2008)
- 『保育と家庭教育の誕生』(共著,藤原書店,2012)
- 『教師の声を聴く』(共著,学文社,2016)