学部長あいさつ
皆さんの前に広がった多くの選択肢の中から、教育学研究科・教育学部を選択されたことを、たいへんうれしく、また、ありがたく思います。
いつの時代にも教育は大切なものですが、今ほど、教育についての問題が社会の中でクローズアップされている時代は少ないように思えます。これからの日本社会、さらに、世界全体がどうなるかが、ひとえに「教育」のあり方にかかっているといっても過言ではないからです。それには、教育について深く学び、情熱をもってこれからの教育を考えていこうとする、皆さんのような若い力がぜひ必要なのです。
教育学部は、戦後東京大学の新制大学への移行に伴い、1949年に文学部から独立して誕生しました。また、大学院が人文科学研究科から独立して教育学研究科が設置されたのは、1963年ですので、東京大学の中でも比較的新しく、また、教員数や学生数から見ても小規模な組織といえます。しかし、社会の中で教育についての期待が高まるにつれ、教育学研究科・教育学部の役割はますます大きくなってきました。
本学の教育学部は、いわゆる「教員養成系」とは異なり、学校教員になるための専用のカリキュラムを有しているわけではありません。もちろん、必要な単位を取れば中学校・高等学校の教育免許を取得することは可能ですが、むしろ、より広く、教育という現象について、さまざまな角度から学習し、身につけた知識や研究方法を社会の諸分野で生かしてもらうことをねらいとしています。さらに、大学院教育学研究科では、研究職を含む、高度な専門職として活躍できる人材の育成を目的としています。
そのために、教育学研究科・教育学部では、この数年、組織と分野の拡充をはかってきました。それによって、教員自身の研究の輪を広げるとともに、学生の皆さんにも多くの視点から教育について学ぶ機会を提供したいと考えたためです。現在は、心身の発達や学習の基礎研究、教育に関する思想・歴史的研究から、学校教育、大学教育、社会教育、心理臨床などの実践的分野まで、充実した組織体制となっています。
教育学研究科・教育学部の特徴を一言で言うならば、このように、「小さいながらも多様性があり、風通しのよいところ」ということになるでしょう。少人数のゼミや研究会、イベントなどもいろいろあります。それぞれのコースの壁を越えて、授業や課外活動を通じて交流を深め、充実した学生生活を送られることを、教職員一同望んでおります。
研究科長・学部長
市川 伸一