講座概要
2024年10月、東京大学大学院教育学研究科は、公益財団法人日本補助犬協会と連携し、「インクルーシブな未来創造社会連携講座――補助犬との協働でひらく共生社会」を設置しました。盲導犬・介助犬・聴導犬を含む補助犬・支援犬と人との協力をテーマに、誰もが共に生きる社会のあり方を考える講座です。この講座は、英語名称の頭文字から SHIFT(シフト)という愛称で呼ばれています。
この連携講座では、研究と教育の両面から取り組みを進めています。
研究面では、学校でのアクション・リサーチやアンケート調査を通じて、教育支援犬が学校の雰囲気や生徒・教職員の人間関係にどのような変化をもたらすのかを検証しています。
また、法律で補助犬の同伴が認められているにもかかわらず、入店拒否がなくならないのはなぜか。その背景にある文化や制度のあり方を掘り下げ、人と動物が真に共生できる社会の仕組みを理論面から考える研究にも取り組んでいます。
2026年度からは、自閉症のある子どもを支援する「自閉症補助犬」の取り組みも新たに始まりました。
補助犬・支援犬が使用者(ユーザー)の生活の質を高めるだけでなく、周囲の人々の理解を深め、学校や職場の環境・文化・制度を変えていく。そうした変化を積み重ねることで、動物と人が共に社会に参加することが当たり前となり、誰もが安心して居場所を持ち、対話と協力の関係を築ける社会の実現を目指しています。
その際、人の側の利益を優先するのではなく、犬自身も楽しく安心して活動できているかどうかなど、犬のwell-beingも大切にしています。
主な活動内容
スクールドッグプログラム
補助犬・支援犬を学校に迎え入れる「スクールドッグプログラム」に取り組んでいます。
2025年度より東京大学教育学部附属中等教育学校への定期訪問を続ける中、普段は接点のない学年の異なる生徒同士が犬を介して自然に会話する場面や、教室に居づらさを感じている生徒が犬のいる場所に来てほっと息をつく姿が見られるようになっています。
このプログラムが目指すのは、「犬が来る学校」から「犬がいる学校」への転換です。犬が特別なお客さんとして訪れるのではなく、学校生活の中に当たり前の存在として根付いていくことにあります。

支援犬介在の可能性と課題」後の集合写真
公開講座
人と動物の関係を人文社会科学の視点から考える公開講座を、学生・一般市民どなたでも参加できる形で隔月開催しています。
参加費は無料です。詳細・申込みはこちらからご確認ください。
この講座が目指す成果
社会への貢献としては、補助犬と共に外出したり働いたりすることが、特別なことではなく当たり前の光景として受け入れられる社会づくりに貢献します。また、犬との関わりを活かした新しい教育・支援サービスの開発も進めていきます。
学術面では、「できる人が優れている」「人間が中心」といった、これまで当然とされてきた価値観を問い直し、より多様な視点から社会のあり方を考える学問の発展に貢献します。また、言葉を持たない犬との関わりを通じて、言葉によらないコミュニケーションや学びの可能性を探る研究も進めていきます。

インクルーシブな未来創造社会連携講座
補助犬との協働でひらく共生社会
SHIFT(Shifting for Inclusive Future Together through Animal-Assisted Activities)
