東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターでは、初等・中等・高等教育の現場や教育行政機関をはじめ社会の各領域で、バリアフリーやインクルーシブ社会の理念と思想について深い理解を持つ人材を育成するため、教育カリキュラムや教育実践、教育システム等に関わる研究と、それを社会に実装していくための活動を展開しています。
こうした活動の一環として、本センターでは2019年度より「若手研究者育成プロジェクト」を開始し、研究科の大学院生を対象に、「教育におけるインクルージョン」や「インクルーシブ社会実現のための教育」に関わる意欲的な研究プロジェクトを助成し、研究の支援を行っています。
なお、本プロジェクトの考える「教育におけるインクルージョン」とは、主に学校教育において、 障害・性差・民族差・経済格差等の多様な差異を持つ子どもたちが包摂される状態への変容を促進する教育実践・教育制度の探究を含むものであり、「インクルーシブ社会実現のための教育」とは、多様な差異を持つ人々が共存・共生する市民社会の形成に資する教育内容・教育方法の開発を含むものです。課題解決のための実践的知見の創出を目的とした研究のみならず、その基盤となる知識や認識枠組を提供する研究も歓迎しています。
2023年度の採択課題
2023 年度の若手研究者育成プロジェクトでは、個人研究 3 件、グループ研究 3 件の計 6 件を採択しました。
研究課題名 | 研究代表者 |
援助者が重度障害児・者をコミュニケーション主体として構築する過程 ーライフストーリーに基づく検討ー (個人研究) | 梶原 佐保 臨床心理D1 |
東京都国立市における自立生活にむけた地域からの学校教育改革 ーワンステップかたつむり国たちに焦点を当ててー (グループ研究) | 佐藤 雄哉 基礎教D1 |
胎児性水俣病患者による水俣病を伝える教育活動の意味 (グループ研究) | 佐野 良介 教職開発D1 |
自閉スペクトラム者の広範な社会違和とその部分集合としての性別違和 ー学童期の違和感に焦点をあててー (個人研究) | 霜山 祥子 教育心理D3 |
心理職養成教育におけるバリア ー「傷ついた癒し手」の描かれ方に基づく考察ー (グループ研究) | 薛 海升 臨床心理D2 |
重度身体障害のある学生の介助について ー公的サービスと高等教育機関の責任をめぐる論理の検討ー (個人研究) | 福田 由紀子 大学経営D1 |