
教育学部 比較教育社会学コース
個人という視点だけでは説明できないことがあると知って、社会の構造から考える学問に惹かれました

教育学部 比較教育社会学コース 学士4年(在学5年目)
清 若菜さん
Wakana Kiyoshi
社会構造と個人の経験との関係に関心を持ち、社会学を軸に教育を研究できる比較教育社会学コースへ進学。
在学中は量的・質的調査を含む社会調査を体系的に学び、教育と社会の関係を多角的に探究。
3年次から1年間、フランス・パリに留学し、政治学・社会学を中心に履修した。
現在はインタビュー調査を用いた質的研究で卒業論文を執筆中。
卒業後は異なる分野に進む予定だが、社会学的視座を思考の基盤として活かしていくことを目指している。
教育学部/比較教育社会学コースを選んだ理由
ー 教育学部を選んだ決め手は何ですか。
私のコースは「教育学」というより、ベースが社会学のコースで、社会学をやった上で教育を対象にする、という感じです。進学選択のときも、とにかく社会学をやりたいと思っていました。
社会学に惹かれたのは、東大に入ってから感じたモヤモヤがきっかけです。学ぶことが好きで、「大学でもみんな学びを楽しんでるのかな」と思っていたんですが、そういう人ばかりでもないというショックがあって。もう一つは、ものすごい教養や熱意を持つ人たちに出会って、自分の至らなさを感じたこと、さらに家庭環境や育った地域による格差も感じたことです。
そういうとき、人って「自分が悪い」「あなたが悪い」と個人に原因を寄せがちだと思うんですけど、社会学は「社会構造がこうだから、こういう結果が生まれる」と捉える助けになる。そこに救われた感覚があって、もっと学びたいと思いました。
社会学を学べる場はいくつかありますが、私はずっと教育に関わる部分、「平等に見えるけれど実は家庭背景などによる差が出る」「ではその部分の平等が担保されれば結果の不平等は正当化されるのか」といった問いや、メリトクラシーと呼ばれる現象などに関心があったので、教育を対象とした社会学ができるこのコースを選びました。加えて、コミュニティとしての機能が充実している、先生と学生の距離が近いという話を聞いて、学習内容と環境の両面で決めました。

コースの雰囲気(学生同士・教員との距離)
ー 入ってみて、雰囲気はどうでしたか。
少人数なので仲良くなりやすくて、私の代は20人くらいなんですが、びっくりするくらいみんな仲がいいです。
ただ「仲がいい」だけじゃなくて、「この理論が面白い」「先生とこんな議論をした」「この本が良かった」みたいな真剣な学問の話も自然に成立する雰囲気が好きです。
先生との距離もかなり近いと思います。特に印象的なのは、先生方が学生の研究を本当に楽しんでいる感じがすることです。「ゼミ生が書いた論文が面白すぎるから読んでほしい」みたいな言い方で紹介されたりして、学生の学びを楽しみにしてくれているのが伝わってきます。だから相談もしやすいし、頑張れる環境があると思います。

授業・カリキュラムの特徴(理論×実証、量×質)
ー 授業の特徴や、コースならではの学びはありますか。
授業形態は、ゼミ形式の演習もあれば、必修の大人数授業もあります。
コースの目玉は、通年の「社会調査実習」です。ある自治体の中学校でアンケート調査を行って、テーマ設定、質問項目作成、配布、回収、コーディング、統計処理、論文執筆まで、1年かけて全部やります。社会調査のプロセスを丁寧な指導のもとで最初から最後まで実践できるのが大きいです。
量的調査だけでなく、フィールドワークやインタビューなどの質的調査を学べる授業もありますし、古典文献を読んで議論する理論系の授業もあります。プラクティカルな手法と理論が両方学べる、というのがコースの強みだと思います。
統計ソフトの使い方などに関する所定の授業を取れば、社会調査士の資格取得につながるカリキュラムにもなっています。

学びが生活・将来にどうつながるか
ー 学んだことが、生活や将来に役立ったと感じることはありますか。
「役に立つ」の捉え方にもよりますが、社会の見方は確実に変わったと思います。個人的な出来事でも、もう少し大きな構造と結びつけて考える癖がつきました。統計やインタビューといった社会調査の手法に加え、理論の蓄積にも触れられるので、考える足場ができる感じです。
仕事に直結する面でいうと「調査ができる」というのは強みになります。就職先が教育や社会学と直結しなくても、事象を構造と結びつけて考察できる視点は、どんな組織でも必要だと思っていますし、自分の思考ツールとして持っていたいです。

卒論と進路
ー 卒論ではどのようなテーマに取り組んでいますか。
私は量的ではなく、インタビューを用いた質的調査で卒論を書いています。インタビュー手法や、ゼミで鍛えられた議論の力、いろんな理論や考え方が日々役に立っていると感じます。
進路は、教育や社会学とは直接関係ない分野に進むことが決まっています。ただ、就活中も「社会学的視座を持った人は組織に必要だし役に立つ」という信念は曲がりなりにも持っていて、分野が違っても分析ツールとして持ち続けたいと思っています。

留学との両立
ー 留学と学びの両立は可能でしたか。
全然可能でした。留学中は政治中心の履修でしたが、社会学の授業も取っていました。異なる学問を異なる機関で学べたのは非常に贅沢な経験で、卒論での探究の足掛かりにもなりました。
コースには通年の調査実習があるので、留学開始時期の検討は必要ですが、実習の途中で渡航し、帰国後に再開するケースも一般的です。例年、そのように計画する学生も多いそうです。通年でしっかりやりたいなら4年春から行くのもおすすめです。

これから学部選択をする人へ
ー 最後に、学部選択に迷う人へメッセージをお願いします。
迷っているなら、まずはいろんな人に話を聞くこと。情報が大事だと思います。
比較教育社会学コースでは、教育・社会・労働・福祉・ジェンダー・マイノリティなどのキーワードに少しでも関心があれば、それが学びの入り口になります。進学時にテーマが固まっていなくても、学びながら育てていける環境です。
また、コミュニティが欲しい人には特におすすめです。説明会やランチ会などもあるので、雰囲気を見に来て合いそうだと思ったら検討してほしいと思います。

教育学研究科・教育学部案内パンフレット(PDF)
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