校則の理想的なあり方
このホームページでは「必要な校則は何か」という問いを掲げながら、校則について考えてきました。校則の教育的意味が何であるか、そして校則の実態を調べて明らかとなったのは、機能を持たないただの規則となった校則の姿でした。校則の見直しが今もなお必要であり、「必要な校則は何か」という問いは現代の校則に対して、常に投げかけねばならない重要な問題です。
校則は、生徒が真摯な生活を送れるため、そして正しく従順な心が育つためにあります。この教育的意味は、教師・生徒が理解していて初めて効果を生みます。どれだけ生徒のためだといっても、その意味をないがしろにして生徒に守らせるのでは、それはもはや何の教育的意味を持ちません。必要な校則とは、その意味を教師と生徒がお互いに理解したうえで成立するものなのです。
しかし、そのような理想的な校則はどのようにして成立させられるのでしょうか。私たちが取材した高校は、その方法の一つを示してくれましたように思います。校則といえば、教師が生徒に守らせるという、一方通行のやりとりだと思われがちですが、生徒の側から校則を守ろうという動きが出てきている。そしてその動きが、学校全体で校則を守ろういう空気を生み出そうとしています。これが、理想の校則のあり方なのではないでしょうか。はじめは、生徒から動き出すことのは難しいかもしれませんが、教師と生徒がうまくつきあっていくことで、それは可能になるのだと思います。
今はまだ、機能を果たしていない校則に縛られている学校が多いかもしれません。しかし、それぞれの学校が校則を見直し、工夫することで、今の校則の現状は改善していけるのではないかと思います。校則によって生徒の心が育つ、そのような学校が増えていくことを願っています。

引用文献
苅谷剛彦 1998 「学校って何だろう」 講談社, 65-83
木村好美(友枝敏雄ら編著) 2003 「現代高校生の規範意識」 九州大学出版会, 11-19
秦政春 2003 「放送大学教材 改訂版 生徒指導」 放送大学教育振興会, 60-79
E. デュルケーム(麻生誠・山本健訳) 1964 「道徳教育論」第2巻 明治図書, 30
|