2.何の評価?

インデックス1.評価項目一覧2.何の評価?3.投資教育?4.参考文献5.ウェブページについて

ここでは、「どのような評価なのか」(なぜ評価をしたのか)と、「どのように評価したのか」(評価項目の作成方法(始めに))の二つを詳しく説明します。

なぜ評価をしたのか
投資教育の学校教育への必要性投資教育が学校教育に本当に必要なのか説明します。
投資教育は学校教育のどこに入れることができるのか投資教育は実際にどこに入れられるのかを考えます。
評価項目の作成方法(始めに)
参考文献からの評価項目参考文献から作成した評価項目について説明します。
座談会からの評価項目現役の先生方による「覆面座談会」から作成した評価項目について説明します。

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なぜ評価をしたのか

総合学習の時間において、投資教育をどの程度行うことができるのかを、現在利用可能な教材を様々な面から評価することで判断しようと思ったからです。総合学習での利用しやすさ、可能性という点で主に評価をしました。

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投資教育の学校教育への必要性

近年の若年者における自己破産件数のの急増や金銭管理に関する知識の欠如から、消費者教育の必要性が指摘されています(『多重債務リスクと金銭管理教育』(参考文献))。けれども、家庭科、公民、道徳と、金銭に関する教育は教科間で分散する傾向にあり、まとまった内容を学習することは難しい現状です。金銭管理能力に加えて、資産の自己運用、自己責任が求められるようになった現代では、投資に関する様々な知識、能力を得ることにも大きな意義があると考えます。そのような知識と能力は現代人に共通に求められているものであり、その点で学校教育というのが一番効果的ではないでしょうか。投資という分野は、公民で扱われるような大規模な経済社会での面を含み、また、家庭科で扱われるような個人、家庭などの小・中規模の経済社会での面も含みます。従来の金銭教育にとらわれない幅広い教育を行うには総合学習の枠がふさわしいのではないのでしょうか。

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投資教育は学校教育のどこに入れることができるのか

投資教育の学校教育への必要性で前述したように、学校教育ではお金に関する教育は従来、教科間で分散する傾向にありました。公民では大規模な経済活動を主に(国の経済政策、国内総生産、企業の経済活動など)、家庭科では個人や家庭の経済活動を中心に教えられていました。このことによりまとまった学習時間が取りずらい、教科間の関連が少ないなどの問題が生まれました。これに対処するための有効な手段として、金銭に関する学習内容を統合し、そこから各教科に振り分ける方法があります。具体的には、金銭に関する学習内容を投資教育として統合し、そこから投資に関する内容と経済社会に関する内容と金銭管理に関する内容に分ければ従来の教科内でも教えることができるでしょう。ただ、金銭に関する学習内容は量的に膨大になることが予想されるし、投資に関する内容は、家庭科や公民単独の内容に還元しきれない幅広さがあるので、総合学習の時間を主に充てるのがいいでしょう。

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評価項目の作成方法(始めに)

評価項目は参考文献からの項目、現役の先生方による座談会からの項目柄本独自の項目と三種類作成しました。

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参考文献からの評価項目

1.『多重債務リスクと金銭管理教育』からの評価項目

投資の技術にとどまらず、金銭管理の能力も養えるのか、授業で使いやすいかといった評価項目の元になりました。

2.『わが子の金銭教育』からの評価項目

金銭教育がもっていた道徳性への記述から、投資の持つ問題点に関する評価項目の元になりました。

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座談会からの評価項目

1.座談会の内容

座談会では、参加してもらった先生方に他の質問(例えば芸術教育に関連する質問)と同時に答えてもらったため、投資教育についての発言の一部を抜粋する形になっています。ご了承ください。座談会の全文が見たい方は座談会の全容へのリンクまでどうぞ。

質問内容

:総合学習で投資を取り上げている学校があるのですが、投資に関する知識を総合学習に取り入れることについてどう思いますか。

A先生:

うちの場合には結局題名つけると興味関心型ですから、もともと環境教育に力をいれている学校なんですけども、そういう中で、投資を選ぶっていう子がいてもそれは構わないと思いますよ。今のとこいないですけども(笑)。

それで、もう一つは学年として大きなテーマを掲げておこうという意見はいつも出てて、これはいわゆる現代的な課題が多いわけですね。福祉とか環境とかを掲げようという、そういう形で投資を掲げるということについては私は、反対ですよね。ですが、個々にこれを追いかける子がいても、うちの学校の仕組みの中では認められます。

B先生:

投資に関する知識ってのは、小学校じゃなくて中学校くらいですよね?(司会者:「中学校以降です。」)今は○○の小中学校のリクルートからいった民間の校長をやっている、ああいう方たちはよくそういう授業をやっていますが、子供が本当に問題意識をもって取り組めば、ある意味では、投資について学ぶのではなくて、投資を通して社会の仕組みを学ぶとかだったら、中学生くらいなら可能だし、面白いんじゃないかと思いますけども。

C先生:

えーと、投資に関する知識というのは、どういうことなのか良くわからないんですけども、世間の流れとか、トレンドを追ったりとかですね、現代社会を見つめるっていうことで、で、投資がその一つの目的として、その、どういったものに投資したらいいのかとか、世の中のことを見たり、調べたりする1つのものとして投資を扱うのはいいと思いますけど、一律100万円みんな持っていて、じゃあ投資してとか、株ゲームとかどういうことをするかわかりませんが、ゲーム感覚で誰が1等賞とか、そういうのでは良くないと思いますが、投資をもとにして世の中のことを探ったりとか、今の流行りものとか、これから流行りそうなこととか、そういった未来がどうなるんだってことを考えたりすることに関しては良いと思います。ゲーム感覚で終るのだったらそれは良くないと思います。

2.座談会から出た疑問点

A先生の発言からの疑問:投資教育は現代的課題には入らないのでは?

解説:現時点では、教育者間の入る・入らないの認識には非常にばらつきがあるでしょう。総合学習の題材として取り上げられやすいのは、やはり文部科学省が例として示した五つの「現代的課題」です。この「現代的課題」はあくまで題材例であり、それ以外の題材も総合学習には十分ふさわしいのですが、「現代的課題」の中に含まれている方が題材として導入しやすいのは確かです。『多重債務リスクと金銭管理教育』(参考文献)では金銭管理教育を「社会形成者としてのふさわしい人間形成を目ざし、生きる力を育てる教育」(P143)とし、総合学習の内容としてふさわしいものとしています。投資教育の場合も、投資の技術にとどまらず金銭管理能力の分野を取り入れることで「生きる力を育てる」学習内容になる可能性があります。また、投資から社会の仕組みを学べるような無いようにすることで、環境に関する現代的課題の一つと位置づけることもできます。

ここからの評価項目:投資から金銭管理の技術を学ぶことができるか

B先生の発言からの疑問:投資から社会の仕組みを学べるのならば面白いのでは?

解説:「A先生の発言からの疑問」で解説したように、社会の仕組みを学ぶことは投資教育の内容をより総合学習にふさわしいものにします。この場合の社会の仕組みは一般に経済社会を指し、教科で言うと公民的な経済社会と家庭科的な経済社会に分かれます。前者の内容は日銀を中心としたお金の流れや国の財政などの大規模なもので、後者のはクレジットの仕組みや家庭内の消費などの小・中規模のものです。後者の内容は消費者教育や金銭管理教育につながる部分が大きく、社会の仕組みを知ることがお金の扱い方を知ることに直接つながりやすいでしょう。内容が増えると時間数が気になるところですが、その点は「投資教育は学校教育のどこに入れることができるのか」をどうぞ。

ここからの評価項目:投資から経済の仕組みを学ぶことができるか

            :投資から金銭管理の技術を学ぶことができるか

C先生の発言からの疑問:時代のトレンドを読む能力が育つかも?

解説:株式投資には時代のトレンドを読むことが非常に重要ですので、投資の技術を学ぶことでそのような能力が育つことは十分考えられます。

ここからの評価項目:投資の技術を学ぶことができるか

C先生の発言からの疑問:株式ゲームなどはゲーム感覚で終わってしまうのでは?

解説:投資教育の教材の有名なものとして株式ゲームやトレーディングゲーム(仮想貿易ゲーム)が挙げられますが、「現実とゲームをどのように結びつけるのか」という問題がよく指摘されます。株式学習ゲームを利用することで生徒が新聞やニュースを見るようになったり、様々な事柄に経済の視点を持ったりするということがあるようですが、学習内容が現実にどの程度活かされているのかを調べる手段は今のところ確立されていません。逆に言えば、なぜ株式などの投資ゲームでは現実の場面へ影響があるかどうかが、厳しく審査されるのでしょうか。他の総合学習の題材に比べて「ゲームで終わらない」ことが求められる背景には、投資の技術だけを学んでも意味が無い、といった考えがあるのかもしれません。

ここからの評価項目:投資から経済の仕組みを学ぶことができるか

            :投資から金銭管理の技術を学ぶことができるか

3.評価項目のまとめ

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