ここでは、読み聞かせを通じた読書コミュニティづくりの実践事例として、
京都市こどもみらい館にある子育て図書館の事例を紹介します。
京都市子育て支援センター こどもみらい館 とは・・・
○小学校統廃合跡地を活用して、平成11年12月に開設
○幼稚園・保育所、私立・市立・国立の垣根を超えて、
共同して子育て支援の取り組みを推進する共同機構であり、
市立幼稚園5園の統合幼稚園を併設している
○教育・福祉・保険医療が三位一体となった中核施設
○敷地面積2797u、約850坪
○一日平均利用者1350人
○ボランティア登録600人以上
こどもみらい館の5つの柱
1. 相談機能:子育ての悩みや不安をもつ保護者のための総合的な相談機能
ex.)対面相談、健康相談、電話相談
2. 情報発信機能:子育てに関する情報を乳幼児の保護者や市民に提供
ex.)子育て講座、子育て図書館、子育て情報誌、イベント
3. 子育て支援ネットワークの構築
ex.)ボランティアの養成、子育てサークルの支援など
→電話相談ボランティア、
子育て支援ボランティア
絵本ふれあいボランティア
地域子育てボランティア
4.研修機能
ex.)保育士・幼稚園教諭養成大学と連携した講座、専門職向けの情報誌の発行
研修の教材化(ビデオ化)と貸出し、研究・研修資料閲覧コーナーの設置
5.研究機能
ex.)NPO等と共同した子育て支援研究、地域と結ばれた事例研究
こども未来館の職員の方にインタビュー!
Q.こどもみらい館のような共同機構組織の財政的基盤はどのような仕組みになっているのですか?
A.ここの施設は教育委員会の施設になっています。教育委員会から,京都市の財団法人である京都市生涯学習振興財団(通称アスニー)に業務を委託しているというかたちです。ですから,財政基盤は,財団の予算と教育委員会直轄の予算と,2本立てというかたちです。
Q.図書館で活動するボランティアの方々についてお話くださいますか?
A.子育て図書館には,「図書館ボランティア」と「読み聞かせボランティア」がいます。図書館ボランティアは,本の返却,整理,ビデオ視聴の受付などをします。読み聞かせボランティアは「お話会」で読み聞かせをします。ボランティアの登録数はそれぞれ60名くらい。読み聞かせは午前午後と1日2回 おこないます。1日に2回読み聞かせをしている図書館は珍しいと思いますよ。
Q.ボランティアの研修などはおこなっているのですか?
A.はい,毎年新規にボランティアを募集して,6回ほどの研修をしています。基礎編が3回,活動分野別に2回,実務実習を1回,さいごに閉講式を兼ねて講演を聴いていただいています。
Q.親子で参加できるものにはどのようなものがありますか?
A.毎月第3金曜日に「赤ちゃんと絵本のふれあい会」というものをやっています。これにもボランティアの方にお手伝いしていただいています。毎回大勢の親子が参加してくださり,これ以上は入れないような状況です。
Q.親子で触れ合う,ブック・スタートのようなものは要望が多いのですね。
A.はい。ここの図書館のほかに,健康増進課のもとで保健所のほうでも「絵本ふれあい事業」という ものをやっています。生後8ヶ月検診のときに各保健所でお母さんとお子さんの登録をしてもらい,そこでお手伝いをするボランティアの研修も,こどもみらい館でやっています。
Q.こうしたボランティア活動には,小学校や大学など,学校との連携もあるのですか?
A.学校と組織的に連携はしていませんが,大学生が参加してくださることはありますよ。
Q.この図書館で所蔵する本の選定基準などはあるのですか?
A.特に基準はありません。新刊案内が来たときに司書や職員で決めています。また,本の収集とは逆ですが,「絵本リサイクルコーナー」といって,リサイクルに出された本を配布することなどもしていますよ。
Q.何か課題などはありますか?
A.今は人手が手一杯で,新しいことをやる余裕がなかなかありません。また,蔵書の内容が子育てをする母親や保育士向けで,研究書が少ないことなどでしょうか。
どうもありがとうございました。
本インタビューは,2006年12月に青山が行ったインタビューを編集したものです。
インタビューの全文については,参考文献(立田,2007)を参照してください。