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Usage: autons [option] <infile >outfile
Option: /CG:fl,fi,ff
/LL:f
/LU:f
/HU:f
/NL:f
/AI
/NZ
/DR
/LF
/LS or /LA
/RF
/SV
/HE
AUTONS.EXEは、もともと心拍変動のスペクトル解析から導かれる自律神経系(ANS)の指標を計算することを目的としています。このプログラムは低周波域のパワー(Lo)と高周波域のパワー(Hi)を計算し、これらを用いて副交感神経系(PNS)と交感神経系(SNS)の活動の指標を算出します。詳しくは、文献[3-5]を参照して下さい。
しかしながら、現在のバージョンでは、LoとHiのパワー、それに時系列の平均値と標準偏差といった基本的な統計量しか出力しません。これは、これらの数値の処理の仕方が研究者によって異なっているためです。ANSの指標は/AIオプションを指定することにより得られます。
/CGオプションにより、時系列のフラクタル・パワー推定値とフラクタル次元をCGSA法により求めることができます[2, 4, 5]。
AUTONS.EXEへの入力ファイルは、FTSPEC.EXE、またはMESPEC.EXEの出力に限ります。出力ファイルのフォーマットは、
<outfile>
Ndata = ##########
Xmean = ####.##### u.
Xs.d. = ####.##### u.
Max power density = ##.### sq.u./hz @ ##.### hz
Lo frequency (#.## - #.## hz) power = ##.### sq.u. (1)
Hi frequency (#.## - #.## hz) power = ##.### sq.u. (1)
Total harmonic power = ##.### sq.u. (2)
Fractal power = ##.### sq.u. (2)
Percent fractal power = ##.### % (2)
Total power = ##.### sq.u.
PNS indicator (Hi/Total) = ##.### (1)
SNS indicator (Lo/Hi) = ##.### (1)
SNS indicator (Lo/Total) = ##.### (1')
Lower limit for regression = ##.### hz (3)
Upper limit for regression = ##.### hz (3)
Regression slope = ##.### (3)
Regression intercept = ##.### (3)
Root mean square error = ##.### (3)
R square = ##.### (3)
Mean absolute error = ##.### (3')
Spectral exponent = ##.### (2)
Fractal dimension of trail = ##.### (2)
Fractal dimension of record = ##.### (2')
ここでuは測定された時系列の単位を表します(ms、bpmなど)。また、(1)は/AIオプション指定時に出力されます。(1')は/LFオプション指定時に出力されます。(2)は/CGオプション指定時にのみ出力されます。(2')は/DRオプション指定時に出力されます。(3')は/LAオプション指定時に出力されます。
オプションの機能とデフォルト値は以下の通りです。
- /CG:fl,fi,ff
- /CGオプションの指定により、入力ファイルがCGSAの結果であることを明示します。このオプションにより、時系列のフラクタル・パワー、スペクトル指数、フラクタル次元が求められます。flはスペクトルを両対数表示したときの回帰開始点(Hz)を指定します。fiは回帰終了点を求める範囲の開始点(Hz)、ffは終了点(Hz)を指定します。これらの変数はナイキスト周波数の分数値で指定するようになっています。
/CGオプションを指定するためには、FTSPEC.EXEで/CGオプション指定によって計算された結果が、AUTONS.EXEの入力ファイルになっていなければなりません。
デフォルトでは、/CGオプションは指定されません。単に/CGと指定した場合には、時系列のナイキスト周波数がfnであるとすると、
となります。
- /LL:f
- 時系列の低周波域のパワーLoを計算するときの下限(Hz)を指定します。デフォルトは0.0。
- /LU:f
- 時系列の低周波域のパワーLoを計算するときの上限(Hz)を指定します。デフォルトは0.15。
- /HU:f
- 時系列の高周波域のパワーHiを計算するときの上限(Hz)を指定します。デフォルトは0.5。
- /NL:f
- /CGオプションとともに用いられます。スペクトル指数(スペクトルを両対数表示したときの回帰直線の傾きの絶対値)を計算する際に、f(Hz)以下のパワーをノイズとみなし、計算に使わないようにします。
- /AI
- 出力ファイルに自律神経系の指標を含めるときに用います。/LFオプションを参照して下さい。デフォルトでは指定されていません。
- /NZ
- /NZオプションを指定することにより、/AIオプション使用時の"0.00000"、"Infinity"という形式の出力をしないようにすることができます。有限長のデータにCGSAを行うと、計算の過程で、調和成分のLoやHiの値が負になることがあります(理論上は、負の値はありえないのですが)。このようなとき、/AIオプションが指定されていると、AUTONS.EXEは"0.00000"または"Infinity"と出力します。/NZオプションを指定していると、このような負のパワーを計算に用いませんので、帯域ごとのパワーはつねに正となります。このオプションを使用するか否かは、あなたが決めてください。もし有限長のデータに対しても厳密さを追求するのであれば、使わないで下さい。使った方が、精神衛生上よろしいかもしれませんが...。デフォルトでは指定されません。
- /DR
- /CGオプションが指定された場合、AUTONS.EXEはデフォルトで、入力データのフラクタル次元(trail)を計算します。一方、/DRオプションを指定すると、フラクタル次元(record)を計算するようになります。これらの差異については、文献[5]を参照して下さい。デフォルトでは指定されません。
- /LF
- いわゆるSNS指標は、Lo/Hi(こちらがデフォルトです)、またはLo/総パワーとして求められます。/LFオプションを指定すると、後者の方法でSNSが計算されます。デフォルトでは指定されていません。
- /LS or /LA
- これらのオプションは、両対数表示されたスペクトルを直線回帰する方法を指定します。したがって、/CGオプションを指定してスペクトル指数を求める場合にのみ、有効となるオプションです。/LSオプションは最小二乗法を、/LAオプションは最小絶対法を用いて直線回帰を行うときに指定します。後者の方法は直線をロバストにフィットできる(すなわち、異常値に左右されにくい)ことで知られていますが、計算に要する時間は/LSオプション使用時よりも長くかかります。デフォルトでは/LSが指定されています。
- /RF
- /RFオプションは、/CGオプション指定時の出力に、平均二乗誤差の平方根や
といった直線回帰の結果を含めます。
- /SV
-
を参照して下さい。
- /HE
-
を参照して下さい。
ICHIRO HIDAKA
1997年12月04日 (木) 04時04分01秒 JST