東京大学教職支援ネットワーク

東京大学 東京大学大学院教育学研究科・教育学部

10月19日(土)教職支援ネットワーク第五回総会開催報告

2019年11月19日

◆教職支援ネットワーク役員紹介
本ネットワークの会長は東京大学教育学研究科長、幹事は教育学研究科教職課程委員会委員となります。当日は、会長及び出席した幹事から、参加者のみなさんにご挨拶いたしました。

◆教職支援ネットワークシンポジウム
教育職員免許法及び同法施行規則改正の施行に伴い、本学では2021年度より「学校体験活動(学校インターンシップ)」が開講されます。プログラムをデザインするにあたり、東京大学から教師を目指す学生にどのような経験を用意すればよいのか検討する必要があります。本シンポジウムでは、現在、協定先の学校法人自由の森学園と協働で試行して開発しているプログラムの成果を事例とするとともに、学校現場からの東京大学の教職課程に対する期待や要望、東京大学から教師になられた教職支援ネットワーク会員の皆様の声を活かしながら、東大生にどのような学校体験活動が必要かを検討しました。
  
【登壇者】(登壇順、敬称略)
藤江康彦(東京大学大学院教育学研究科)
澤田 航(東京大学大学院教育学研究科修士課程)
菅間正道(学校法人自由の森学園高等学校教頭)
善本久子(東京都立白鴎高等学校・附属中学校校長)

  

藤江康彦教授

藤江 康彦教授からの主旨説明ののち、登壇者より25分ずつ話題提供がありました。

  

澤田 航さん

教育学研究科修士課程1年の澤田航氏は、自由の森学園における学校インターンシップについて、保健室において生徒との話し相手になる活動での様々なエピソードとともに今後の展望や感じている課題についてお話しくださいました。自由の森学園の菅間教頭からは、今回のインターンシップでは、学生の自主性を重んじた旨補足がありました。

  

菅間正道教頭

続いて、自由の森学園高等学校の菅間正道教頭からは「未来の教育 社会の未来」と題して話題提供がありました。まず、教員志望者数が減少するなど、教職に対して感じる魅力が低下してきている現状についてお話しいただきました。そのうえで、学校インターンシップの意義として、「タテでもヨコでもない、ナナメの関係」で生徒達と関われる経験のゆたかさ、一日の学校見学、参観ではわからない学校の多面的な顔・姿に触れられることなどをご指摘いただきました。また、未来の学校作りは教師を育てることとイコールであり、自由の森学園では2018年度から新しく始まった新人研修に力をいれていること、若い教師の育成と学校インターンシップは相互に浸透するものであるとのお話しがありました。

  

善本久子校長

都立白鴎高等学校・附属中学校の善本久子校長からは、「東大で教職を目指す皆さんへの期待」と題して、教育現場においては、抽象的理解の苦手な生徒に教える時ほど、教師には事象への本質的な理解の深さが求められるため、東大生の高度な能力が教育現場に必要であること、インターンシップにおける経験と併せて創造力がとても重要であることをお話しいただきました。また、ダイバーシティの観点から、女性教員の比率や東大の女子学生の比率について言及があり、「ガラスの天井」ではなく「ガラスの扉」は自分の手で開けていくことができるものだともお話しがありました。最後に、教育は必ずハッピーエンドであるとは限らないが、毎年感動で涙するような出来事があり、こんなにやりがいのある仕事はめったにないと教職の魅力を語ってくださいました。

  

質疑応答

休憩を挟んだのち、フロアの参加者からも意見を募りました。参加者からは多くの貴重な意見が寄せられ、活発な協議の後、最後に登壇者から本日の感想を伺い、惜しまれつつも盛況のうちに閉会となりました。
学校体験活動は、学校教育の実際を体験的・総合的に理解し、教育実践や教育実践研究の基礎的な能力と態度を身につけることが求められます。東京大学における学校体験活動においては、それにとどまらず、教師の仕事や子どもの学習を対象化してとらえ、この活動を広く人間理解の場とし、履修者の人間観や学習者観を拡張していくこと、さらに、そのことを通して、自身の研究や学修を豊かなものにすることを志向していく可能性が、本シンポジウムにおいては示唆されました。
教職支援ネットワークでは、今後も各種イベントを開催していく予定です。引き続きまして、ご参加・ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。