a 統 計 「数学T」における統計および「数学V」における確率・統計とほぼ同じ程度の内容に,必要あれば簡単な順列・組合せを含ませて扱う。 この内容の扱いは,専門科目での必要よりも,卒業後における必要を多く考えて程度を決める必要がある。課程によっては,相関関係を詳しく知るための方法としての相関線にふれることも必要であろう。また,調査のしかたについては,理論的な説明は無理であるが,数表や公式を利用して実際に処理したり,結果を用いたりする程度まで進めることも,課程によっては必要である。この場合,世論調査,品質管理などの実際についの説明も,必要であれば加えることが望ましい。 b 数列・級数 「数学V」における数列・級数の程度を扱う。しかし,実用上必要のない数列や級数についての一般論にはふれなくてもよい。 定積分等への準備のために課す場合と,複利計算・年金計算等の基礎として課す場合とで,いくぶん扱いは異なるであろう。後者の場合には,各種の実用的な数表(たとえば現価表)についての指導も必要である。前者の場合には,積分の指導計画の中に含めてもよい。 c 複素数 「数学T」の複素数の基礎の上に,次のような内容を指導する。 (1) 複素平面の意味 (2) 複素数の極表示(z=γ(cosθ+isinθ)となること) (3) 複素平面上における四則の幾何的解釈 (4) ド=モアブルの定理(指数が正の整数の場合) さらに必要のある課程では,exの展開などを利用してオイラーの公式を説明したり,複素平面上の図的解法を中心に指導したりすることも考えられる。 d 三角函数 「数学T」「数学U」における三角函数の内容のうち,必要なものを取り上げる。 「数学T」における三角函数を履修している者といない者とで扱いが異なるであろうし,三角函数がどんな意味で必要であるかによって重点が異なるであろう。周期現象の表現として必要な課程では,測量的な扱いは簡単にしたり省いたりすることも考えられるし,測量的な応用が必要な方面では,一般角の三角函数の性質は簡単にして,測量公式とその検算法に重点をおくことも考えられる。 e 微分 「数学V」における微分とほぼ同じ内容を扱うが,その場合に,微分の実際的な意味を知ったり,計算に習熟したりすることを中心とする。 なお必要な課程では,次のような事項を加える。 (1) 媒介変数による函数についての微分公式,ならびに逆函数の導函数。 (2) 自然対数および指数函数・対数函数の微分。(limn→∞(1+1/n)n をeと表わすことを知り,これをもとにして,logx の微分を知ること。 (3) 簡単な函数についてf(x)=f(0)+f’(0)/1*x+f”(0)/1・2*x2+……が成り立つことを確かめ,これを利用すること。 f 積分 「数学V」における積分とほぼ同じ内容を扱う。 なお必要あれば,次のような事項を加える。 (1) 簡単な置数積分 (2) ez,1/xの積分 (3) 導函数と変数との間の関係を表わしたものとして微分方程式の意味を扱い,図によってその解の意味を明らかにする。(微分方程式の意味と図的解法) g 計算法 実際的な数値計算に必要な数学的な事項を指導するのがねらいであるが,取りあげる内容は課程の必要性によってかなり変化がある。 多くの場合,図による計算(対数方眼紙の利用,計算図表を含む),補間法,誤差の扱いなどのうちから適当なものを選ぶことになろう。また,場合によっては,この内容を独立した項目として扱わず他の内容の中に含めることがあってもよい。 課程によって必要があれば,さらに実験式や近似公式を扱うことも考えられる。 h 図形とその方程式 「数学U」における図形とその方程式とほぼ同じ内容を扱う。 課程によって必要があれば,さらに簡単に,極座標の概念を導入し,γ=kθの程度の曲線を扱うことも考えられる。また,「数学T」の幾何的内容の扱い方によっては,この項目の中での解析的な扱いのほうを少なくして,画法幾何学的な扱いを中心にして指導することがあってもよい。 |
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