数学V

a 数列および級数
 自然数に対応する函数として数列をとらえ,その値の変化の様子を式やその極限の考察から明かにする。簡単な場合に,その和を求めることも扱う。
(1) 一般項の概念を朋らかにし,等差数列・等比数列を扱う。
(2) 等差数列・等比数列の和の公式や,その応用を扱う。
(3) その他の数列については,Σn2,Σn3の程度の簡単な数列の和の公式を導くことを扱う。
(4) 上記に関連して数学的帰納法を扱う。
(5) 具体的な数列について,番号が限りなく大きくなるとき,項の値がどのように変化するかを調べ,収束・発散の意味を明らかにする。実際に扱うのは,{1/n},{rn}などで極限の存在を認める程度とする。
(6) 無限等比級数について,その収束・発散を扱い,収束条件を明らかにする。
(7) 無限小数の意味を明らかにし,循環小数と有理数との関係を扱う。

b 微分
 「数学U」の変化率を一般化して微分係数や導函数の概念を明確にし,有理整函数・簡単な有理分数函数および無理函数・三角函数の範囲での,形式的な微分の計算やその応用に習熟させる。
(1) 微分係数・導函数・第二次導函数について,その数学的な意味や,速度・加速度のような具体的な意味を明らかにする。
(2) 函数の和・差・積・商および変数変換の微分公式を扱い,形式的な計算に習熟させる。
(3) sin(ax+b),cos(ax+b)のような一次函数の三角函数の程度を越えない範囲で,三角函数の微分やその応用を扱う。
(4) 導函数および第二次導函数を用いて,函数値の変化の状態を調べたり,極大・極小の問題を解いたりする応用を扱う。
(5) 近似式f(a+4x)=f(a)+f'(a)4xを明らかにし,これによって,簡単な函数についての近似計算やf(a+4x)の値をf(a)としたときの誤差評価を扱う。

c 積分
 長さ・面積・体積などの量が極限を考えることによって正確にとらえられること,ならびに極限による計量が多くの場合に積分となることを明らかにし,積分の応用や計算に習熟させる。
(1) 面積・体積・道のりなどの概念を明らかにし,一次式や二次式で表わされる数量関係に区分求積法を用いることを扱い,この場合に極限の考えが重要な役割をしていることを明らかにする。
(2) 定積分の意味を明らかにし,定積分によっていろいろな量を表わすことを扱う。
(3) 微分と積分との関係ならびに不定積分の意味を明らかにする。
(4) 積分が微分の逆の操作であることを利用して定積分を計算することを扱う。積分計算の対象は,bにおける微分の逆として求められるものの程度とし,積分特有のくふうを要するもののは扱わない。
(5) 定積分の数直を求める近似解法として,台形公式やシンプソンの公式を扱う。

d 順列と組合せ
 具体的な事象において,起りうる場合の数を整理し,数えやすくする方法を明らかにし,確率計算への準備とする。また,これに関連して,指数が正整数の場合の二項定理を扱う。
(1) 順列および組合せの考え方を明らかにし,その公式と公式の応用とを扱う。重複順列や重複組合せなどは,その考え方はあってもよいが,記号nUr,nHrなどは内容に含めない。
(2) 二項式の累乗を展開した場合の係数の間の関係を明らかにし,二項定理を扱う。

e 確率と統計
 確率の概念を明らかにし,「数学T」で記述統計的な立場から取り扱ったものに対して,確率の考えを加味し,統計に対する見方を深める。
(1) 死亡率・男女比等の実例を通して,統計的な確率の意味やその意義を扱う。
(2) 実例について,数学的確率と統計的な割合とが等しいことを認めさせ,確率の概念を明らかにする。
(3) 数学的期待値の意味を明らかにする。
(4) 具体的な例について,既知の確率をもとにして複合した事象の確率を計算することを扱う。
(5) 事象の独立・従属・排反の概念を明らかにし,確率に関する乗法定理・加法定理を扱う。
(6) 一定な確率をもつ事象が,何回ものくり返しの中に現れる回数を計算することによって,二項分布の意味を明らかにする。
(7) 具体的な場合について,期待値やそれに近い値を得る確率を計算して,大数法則にふれる。
(8) 統計的な法則の意味,これに基づいて判断を下す場合の注意事項,資料の信頼性などについて簡単にふれる。
(9) 身近な実例や実習を通して,標本調査による平均値の確からしさや,標本調査で全体を推定するときの注意,実際に行われている標本調査の方法などにふれる。



 戻る