代数的内容 a 函数の概念 独立変数をしだいに増加させていって,それに対する従属変数の増加減少の様子をとらえることによって,函数の特徴を明らかにする。そして,いろいろな現象が函数として数学的にとらえられることを明らかにする。 (1) 一次函数について,式とグラフとの対応関係を明らかにする。 (2) 二次函数を平方完成して,そのグラフの対称性,頂点の位置,函数の最大値・最小値など,二次函数の特徴のとらえ方を扱う。 (3) 直線や放物線について簡単な平行移動とそれに伴う式の変化とを扱う。 (4) 2乗に比例(反比例)する場合,平方根に比例(反比例)する場合などの函数関係について,その特徴や式の形とグラフとの対応関係を明らかにする。 (5) 2変数の函数の例として,複比例を扱う。 b 数・式の取扱 目的に応じて式を変形したり,ある文字に着目して式を整とんしたりすることに慣れさせ,代数式の扱いが,式の形に対する見通しをはっきりさせることによって,きわめて機械的にできるようになることを明らかにする。 (1) 整式の四則についての基本的な法則を明らかにし,四次ぐらいの範囲内でその計算を扱う。 (2) 乗法公式を逆に用いる程度の因数分解を扱う。ただし,二次三項式,a3±b3の因数分解の程度までを一般の内容とする。 (3) 上記の因数分解によって求められる整式の最大公約数,最小公倍数を扱う。 (4) 簡単な分母をもった分数式の計算を扱う。 (5) 平方根数の計算や分母の有理化などを扱い,平方根数の取扱いに慣れさせる。 (6) 比例式の基本的な性質を扱う。 c 方程式 方程式・不等式・連立方程式の意味を理解し,その解き方に慣れさせるとともに,その解法が,代数的な式を用いて演繹推理を行っているものであることを明らかにする。 (1) 一次と一次,一次と二次の連立方程式を扱う。この自然な発展として,一方が簡単に因数分解できる二次と二次との連立方程式までは扱うことがあってよいが,特殊の技巧を要するものは扱わない。 (2) 主として,数係数の二次方程式について,根の公式の用法および判別式による実根,虚根の区別を扱う。 (3) 複素数の意味を明らかにし,その簡単な四則計算を扱う。 (4) 不等式の基本的な性質および一次不等式・二次不等式の解法を扱う。 (5) 完全平方の形に導いて証明できる程度の簡単な不等関係の証明を扱う。 d 対数 形式不易の原理に基く指数拡張の考え方を通して,累乗のひとつの逆演算として対数を導入し,代数的な演算がすべて可逆になるようにする。また対数計算に慣れさせることによって,代数的な考え方を深める。 (1) 指数拡張の原理と,対数の意味とを明らかにする。 (2) いろいろな底の場合も,常用対数に帰着させることができることを明らかにする。 (3) 常用対数を用いる計算法を扱う。 (4) 比例部分の原理を扱う。 (5) 計算尺の原理を明らかにし,その使用法にふれる。 e 統計 自然現象や社会現象における統計的な現象の数学的な表現の方法として記述統計の基本的な事項を扱い,その役割を明らかにする。 (1) 統計的な資料の整理のしかたを中心として扱い,その集め方にもふれる。 (2) 資料の特徴を表わす数の意味を明らかにし,その計算法を扱う。ただしあまり複雑な計算は避け,平均偏差・四分偏差は扱わない。 (3) 二つの変量の間の関係を統計的に見る方法の一つとして,相関関係や相関係数を扱う。ただし,相関係数は,説明する程度にとどめる。 幾何的内容 a 直線図形 進んだ数学の学習に対しても基本的であり,かつ応用も広い直線図形の性質を中心として指導する。多くの場合論証への導入もこれに関連して扱う。 (1) 図形についての公理を朋らかにし,これに基づいて二等辺三角形・直角三角形・平行四辺形など,特殊な三角形・四辺形の基本的性質を扱う。 (2) 三角形の辺と角の大小関係を扱う。 (3) 平行線と比例の基本的関係ならびに相似形の性質を扱う。 (4) 多角形の面積についての基本的な性質を扱う。 b 円の性質 円の基本的な性質を明らかにし,円と直線・三角形・四辺形等との関係を理解させる。 (1) 弧・弦・中心角・円周角などの基本的な関係を扱う。 (2) 直線と円,円と円との位置関係,およびそれらが接するための条件ならびに二つの円の共通接線を扱う。 (3) 三角形の内心・外心および内接円・外接円の基本的な性質を扱う。 (4) 円に内接,外接する四辺形の性質,および円と正多角形との関係を扱う。 方べきの定理は,これを導く程度にとどめ,それ以上深くは扱わない。 (5) 弧度法ならびに,これによって弧の長さや扇形の面積を表わすことなどを扱う。 c 軌跡および作図 図形の見方の一つとして,それを動的に見る考え方や図形の決定条件などを理解させ,図形についての考え方を発展的にする。 (1) 作図の公法を明らかにし,直線・円・三角形・四辺形・分点などについての基本的な作図とその証明を扱う。 (2) 軌跡の概念を明らかにし,軌跡が平行線・垂直二等分線・角の二等分線・円などになるものを扱う。 (3) 軌跡の作図への応用にふれる。 (4) 軌跡がいろいろな曲線となる例として,楕円・双曲線・放物線およびその他の曲線(たとえばサイクロクド)を扱う。ただし,それらの曲線については,正確に点を求めて図を描いてその形を知る程度とし,解析的には扱わない。 d 空間図形 直線・平面などの空間における関係および空間図形について,その基本的な性質やとらえ方などを明らかにし,計量その他に応用する。 ただし,内容は基本的なことを中心とし,深く扱うことによってむずかしくなることは避けなければならない。 (1) 空間についての公理を明らかにし,直線・平面などについての平行・垂直の意味を明らかにする。 (2) 二面角・正射影・三垂線の定理を扱う。 (3) 正多面体・球およびその他の曲面体の基本的な性質を扱う。 (4) 投影図における直線・平面の表わし方や,正射影の性質を利用した投影図の書き方などを扱う。 e 三角函数 中学校における三角比を発展させ,180°までの三角函数の概念を明らかにし,これを図形の計量に適用して,図形と式との関連を明らかにする。 (1) 三角函数を180°まで拡張する。 (2) 三角函数について,補角・余角の公式や,同じ角の三角函数の間の関係を扱う。 (3) 正弦法則・余弦法則およびこれらを用いて三角形を解く方法を扱う。 (4) 三角函数を用いて三角形の面積を求めることや,ヘロンの公式などを扱う。 |
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