ホーソンというのは土地の名前です。イリノイ州ホーソンというところがあって、ウェスタン・エレクトリック社という大きな電気会社がそこで労働条件と生産高の関係を調べる大規模な実験を行っていたのです。いろいろな労働条件を試してみて、そのときの生産高を見ていきました。
例えばある一つの実験では、物理的な条件をいろいろ変えて生産高を調べていました。証明をどれくらいの明るさにするとか、休憩時間をどれくらいの割合ではさんだらいいのだろうかとか、様々な条件で実験してみました。その最後に、では思い切り劣悪な条件にしたら、どれくらい生産高が下がってしまうだろうかということを測定しようとしたのです。ところが、その劣悪な条件にしたときに、全然生産高が下がらないということがありました。そこで、物理的な環境条件だけが生産高を規定しているわけではないとわかりました。ではいったい何が規定要因となっているのでしょうか。
それは女子工員のグループでしたが、仲間同士の関係が非常によく、また上司との関係もいい。あまり上司が口うるさくノルマを課したりせずに、自分のペースで気持ちよく働けるという雰囲気になっていた。どれぐらい労働意欲がわくかということは、むしろそういう職場における良好な人間関係があるかどうかという心理的な要因に大きく規定されるのではないか、ということが言われるようになりました。