ねずみ用の迷路を作り,そこにねずみを入れる。最初はいろいろ迷っているが,ゴールに行くとえさがもらえるようにすると,普通のねずみは繰り返していくうちに,時間や道の誤り数がだんだん少なくなっていきます。ところが,この実験で一群のねずみたちには最初はゴールしてもえさをあげないということではじめます。えさをあげないと,ねずみはいつまで立ってもうろうろしていて,学習しているように見えません。これは当然で,それまでの考え方によれば,だからやはり報酬を与えないと学習は起きないんだということになります。しかし,1日目,2日目はゴールしてもえさをあげないけれども,3日目からはゴールすればえさを上げるという風に途中からえさを伴わせる条件に変える。もしそれまで全然学習が起きていないのであれば,ここから学習が始まると予測されます。しかし,実際にやってみると,これらのねずみは初日からえさをもらっていたねずみのレベルにすぐに追いつきます。
 
 報酬をもらえない間,何をしていたんだろうかというと,一見学習していないように見えますが,実はうろうろしながらも迷路の構造についての知識を得ていたのではないかということになります。