総合的な学習の時間における芸術教育として、具体的にどのような授業が行われているのだろうか。
ここでは、4つのテーマに関わる授業を中心に取り上げた。
「地域・伝統文化との交流」 「情報教育」 「国際交流」 「環境教育」 の4つである。
実際に総合的な学習の時間として行われている授業だけでなく、芸術教科としての授業の中で総合的な学習と同様の特徴を持っている例も挙げていく。
芸術文化を身をもって体験することで,地域の文化に対する知識を深める。
「米」というテーマでの総合学習に対しての美術科からのアプローチ。
「わら」に関する調べ学習に始まり、素材としての「わら」から、材料としての「わら」をつくるまでの手間や時間を体験する。
最終的には「わら」を使い、造形活動を行う。
浄るりの調べ学習から始め、浄るりの鑑賞、浄るり音頭の体験などを行う。
そして、最終的には、台本の作成や人形操作の練習を行い、浄るりの発表を行う。
生徒は高い関心を持って取り組み、地域の文化を体験するとともに、地域の人々との交流を通じて社会人としての基本的な態度を身につける。
しかしながら、生徒それぞれの創造性を生かす工夫が足りないようにも感じられる。
CGやアニメーションの製作が主である。
コンピューターを使った新たな表現方法を行う。
フラッシュなどのソウフトウェアを使いこなせるようになることも一つの目的である。
モナリザを素材として、特殊効果を使ったモンタージュなどを行う。
コンピューターならではの表現を用いている。
レベルの高い作品が多く驚かされるが、一方で、ソフトの使い方さえ分かれば多くの生徒がこのような作品を作れるのだということを感じさせられる。
油粘土で作った彫刻の写真を宇喜田の森の写真とを合成。
デジタルカメラとPCを用いることで、簡単に合成できる。
環境にあった彫刻を作ること、いかに自然に合成できるかなどを考える。
芸術を通じて、外国の文化を学んだり、外国の人々との交流を行う。
日本独特の文化を見直すという側面もある。
アメリカの学校の子ども達におり紙を作品を送った。
海外の子ども達に日本文化を伝える、教える機会になったと同時に、おり紙という伝統手芸を見直す機会になった。
イギリスの子ども達とアニメーションを共同制作
前半をイギリスの子ども達が作り、後半を日本の子ども達が作った。
インターネットを使ったデータのやり取りによって可能になった、新しい共同制作の形。
環境教育の中に美術教育の技法・観点を取り入れる。
デザインという現実的な実践を行うことが多く、将来的な実益も大きいと考えられる。
「21世紀にむけて」というテーマでの総合学習に対しての美術科からのアプローチ。
環境を考えた、都市・建築・公園などのデザインを行う。
現状リポート→新提案リポート→作品製作の流れで行う。
環境にやさしい自動車を作るというコンセプトのもとに、自動車のデザインを行う。
クレイモデルの制作,宣伝ポスターの制作,コンピューター広告の制作など、自動車が店頭に並ぶまでの流れに沿って、デザインに関する課題に取り組んでいく。