東京大学
大学院教育学研究科・教育学部
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あなたは、これまで誰に教えられ育てられてきたのでしょうか。そして、これから誰に教えられ、育てられるのでしょうか。
 振り返ってみれば、様々な機会と場を通して、数多くの人々に教えられ育てられてきたはずです。
 幼い頃、両膝の上に座らせ絵本を読み聞かせてくれた母の声、自転車の乗り方を教えてくれた父の手、四季の移ろいを感ずる心を語ってくれた祖母のまなざし、「おはよう」の一言の大切さを伝えてくれたご近所のおばあちゃんの笑顔、算数の問題を解き終えたときの爽快感を教えてくれた小学校の先生の板書の文字、音楽の深さを心に染みこませてくれた中学校の音楽の先生のピアノの音色、スポーツの試合で勝つことの喜びと負けることの悔しさを沢山味わせてくれた部活の顧問のユニフォーム、接客と電話の受け答えのマナーを教えてくれたアルバイト先の店長の手さばき、生物多様性や哲学思想の面白さをかいま見せてくれた教養学部の教授の熱く深い言葉等々、教えられ育てられた断片的な一つひとつの記憶が必ずあるものです。
 教育(英語のエデュケーション)に当たるラテン語の語源は、「引き出す」(エデューケレ)と「養い育てる」(エデュカーレ)とされています。つまり、一人ひとりの子どもが持っている資質や力、才能を引き出し、それらを伸ばし発達させ、健やかで心豊かな実り多い人生を送ることができるように育てていく営みが、教育なのです。
 その教育がうまくなされるために大切なのは、多様な特性と環境と条件を有する数多くの子どもたちと共に学び、共に遊び、共に歩むことができるような機会と場が与えられることです。生物界が多様性を保つことによって、持続的発展がなされるように、人間も多様性の中で初めて、より大きくより高くより深く教えられ育てられていくはずだからです。
 東京大学教育学部は、1949(昭和24)年に、東京大学が新制大学に移行する時に設置され、大学院重点化を経て、今年で丁度60年の大きな節目を迎えます。本学部・研究科の使命は、教育についての専門的な研究と教育、教育に関する専門職の育成、東京大学における中等教育教職養成の中核にあります。
したがって、その教育理念は、第一に教えること育てることの理(ことわり)を知ること。第二に教育、発達、学習の大切さを知ること。第三に教えること、育てることの面白さを知ることに集約されるでしょう。
 その基本理念の達成のために、本学部・研究科及び附属中等教育学校には、人文科学、社会科学、自然科学の多彩な専門性を有する教員・研究者と学生・生徒本位の視点で力を注ぐ事務職員が所属しています。東京大学の中では規模の小さな学部・研究科ではありますが、アットホームな雰囲気の中で、チームワークを基本にして、社会にとって大切な役割りを持つ教育という広く深い事象に真剣に取り組んでいます。
 人間発達は、知性、身体、感性の発達を基礎としています。それぞれを発達させつつ、一人ひとりの人間形成にいかに役立てていくかが、教育学部・教育学研究科の主要な教育・研究課題です。
 言い換えれば、からだを育み、心を育み、人を育む。そのための総合的・学際的・実践的科学が教育学なのです。
 共に学び、共に遊び、共に歩みましょう。
 ようこそ、東京大学教育学部・教育学研究科へ。
教育学部長 武藤芳照
東京大学教育学部長
武藤芳照
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