2011年3月11日から、5年が経ちました。
発災からこれまでの間、多くの市民や被災された方ご自身によって、支援や復興に向けた取り組みが続けられてきました。皆様のご尽力がなければ、復興に向けた歩みは、今より一層遅かったものと考えられます。ご尽力、衷心より感謝申し上げます。
一方で、被災地以外の地域における震災の「風化」が語られるようになり、ボランティアや寄付が減っているという指摘もあります。助成金も5年を区切りとして終了するものが多くございます。支援を取り巻く状況は、転換点に差し掛かっていると考えられます。
しかし、未だに多くの方が避難生活を余儀なくされたり、生活やお仕事の面で困難を抱えておられ、市民・住民の自発的な活動が必要とされております。それらの活動を支えるために、そして、次の災害に備えるために、よりよい助成金制度、寄付制度、ネットワークなど「支援活動を支える仕組み」を社会として作っていく必要があると考えられます。そのためにも、この5年間でどのような活動が行われ、どのような資金体制によって支えられてきたのか、その体制の有効性や改善点は何かといったことについて、振り返り、明らかにしていきたいと考えております。
上記の目的のもと、赤い羽根共同募金の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」で、中長期・重点活動として助成を受けられた皆様に、アンケート調査を郵送させていただきました。現在、活動を継続中の団体様にも、すでに活動を終了された団体様にも、同じようにお伺いしたいと存じます。もちろん一切強制ではございませんが、ご協力頂ければ幸甚に存じます。
本調査が郵送されましたら、ご記入の上、同封の返信用封筒にて、4月11日(月)までにご投函くださいませ。
●主な調査の内容
活動の内容・地域・期間・規模・評価、貴団体の特徴・人数、利用された助成金の内容とその評価、復興や市民活動に関するご意見など。
●調査対象・方法について
・本調査は、赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」において中長期・重点活動として助成を受けた団体を対象としております。ウェブ上で公開されている助成先団体のリストから、団体のお名前で検索し、ホームページやブロク等から住所を確認できた781団体に郵送させていただいております。
・本調査は、中央共同募金会から団体情報の提供や助成を受けておらず、第三者として、同会から独立して行っております。
●分析や情報の取り扱いについて
・本調査は匿名で行い、機密を厳守します。調査結果の公表に際しては、統計的に処理し、個票データは、絶対公表されることはありません。
・調査にあたっては「社会調査協会倫理規程」を遵守いたします。
●結果のフィードバック
・分析結果は、回収・入力・分析が終了後、本ホームページにて公表いたします。もし紙媒体でのフィードバックをご希望でしたら、ご連絡下さい。
・もし個別に分析をご希望される場合は、ご連絡をいただければ実施いたします。
・この分析結果は、中央共同募金会をはじめとする中間支援の関係機関に提供し、よりよい助成制度・支援体制の構築に貢献してまいります。
●調査主体について
・NPO学会震災特別プロジェクト「東日本大震災における民間支援の軌跡と動向調査」ヒト班から派生した質問紙調査ワーキングチームの仁平典宏が調査の責任者となっております。同チームの岡本仁宏(関西学院大学法学部教授)が調査協力者として質問紙作成・分析に参加しております。
・本研究は、日本学術振興会科学研究費研究「東日本大震災支援における市民セクターの布置と機能についての社会学的研究」の一環です。
●調査者のプロフィール
・調査責任者の仁平典宏は社会学を専門とし、ボランティア活動、NPO、市民活動等を主な研究テーマとしております。主な研究業績は
こちらをご覧下さい。
・東日本大震災に際しては、誠に微力ながら、前任校(法政大学多摩キャンパス)のボランティアセンター長として、名取市や石巻市でのボランティア活動や、福島の子どもの夏季キャンプなどを実施して参りました。同様に、「陸前高田地域再生支援研究プロジェクト」の一員として、岩手県陸前高田市における調査やワークショップなどに継続的に関わっております。
・このほか、民間企業が実施する助成金プログラムの審査委員として助成にもかかわって参りました。そこで助成金制度の課題を見直したいと思ったことが、今回の調査のきっかけとなっております。
何卒ご協力賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2016年3月 仁平典宏