授業報告の手引き
セッション概要 :テーマとセッションの目的について
→学びの事実から子どもの可能性や授業づくりのおもしろさを(再)発見する
本研究会が始まった当初から継続して行っている分科会方式のセッションです。今年初めて、テーマとして明示しましたが、これまでも同様の趣旨で行ってきました。
ビデオによる授業記録を基に、授業で起きた事実、特に子どもの学びの事実を捉えることから、参加者同士の多様な見方や考え方を交流させることを目的としています。授業者も参加者も互いの考えを聴きあい、多様性を認め合い、子どもの学びや授業づくりについて語り合える会にしたいと考えています。
授業ビデオは、複雑な事象や教師や子どもたちの多様な背景を映し出しています。授業報告者、他の参加者が1人では気づかなかった多様な視点や捉え方を知り、視野を広げたり、深めたりする機会を創出するために、出来る限りの少人数で分科会を構成し、対話ができるように分科会方式を採用しています。
本研究会で、学びの事実から子どもの可能性や授業づくりのおもしろさを(再)発見することをテーマとしているのは、教材のあり方や選択、授業の展開、発問、指導方法など、従来の授業検討で中心となっていたような事柄の議論をしてはいけない、ということではありません。ただ、上記のような事柄や課題も、何よりも子どもたちの学びを中心に据えて考え、その授業で起きた事実を基にすることから検討が始まると考えている点が特色です。
学びの事実からスタートするディスカッションを通して、教材や教材研究のありかた、発問や関わり方について考え、明日の授業、これからの実践に向けて建設的な交流ができる時間となることを目指しています。
報告者の方へ:ご用意いただくもの
- 授業ビデオ
- 45分~50分の授業を基に、作業場面や発言がよく撮れていない協同場面などをカット(又は当日早送り)し、30分から35分程度の長さにしてください。
- 複数回の授業を編集して部分的に切り出すことは避けてください。
- 授業概要に関する資料
- 配付資料20部ご用意ください。また、メールの添付ファイルとして、事務局あてに研究会前、または終了後にお送りください。
- 分量の目安→A4で1~2枚(裏表印刷で1枚程度)
- 内容→①授業内容と簡単な展開(授業デザイン)、②座席表(できれば)
- 研究会で使用された指導案などで結構ですが、あまり多くならないようにしてください。報告する授業で使用したワークシートや教科書、教材、黒板に貼っていた資料などは、必要に応じて添付資料としてください。(授業の様子、子どもたちの発言の手がかりとして必要だと思われるものなどが該当します。質問などがあれば、事務局にお問い合わせください。)
分科会での時間配分(参加者のしおりに掲載)
[セッションⅢ内での時間配分の目安]
[1報告の時間配分の目安]
- 報告する授業の概要[3分程度]
- 授業者から授業のテーマや展開の概要のみを視聴の枠組みとしてご提供ください。詳細や教室、授業の背景はビデオ視聴後の交流の中でお願いします。
- 授業ビデオ視聴[30~35分程度]
- 事前にカットしても構いません。当日早送りでも構いません。必要に応じて、口頭で説明を加えてくださっても結構です。
- 音声の確認を事前にお願いします。特に聴きとりづらい箇所で重要な場面は逐語録等をご用意ください。
- ディスカッション (小グループと全体)[45~50分程度]
- 授業視聴後、基本的な事柄の質疑応答、よく聞こえなかったところの確認などを行ってください。
- 少人数でのグループを組んで、参加者全員が授業視聴後に考えや意見を他の参加者に発信できる機会を設けてください。
- 全体での交流の時間も発言者が偏ることのないよう、ご配慮をお願いします。
※参加者のしおりに掲載している文面
参加者の皆さまへ
· 参加者が実践者・学校の管理職・研究者・院生などの立場を超えて、実践について参加者が対等に語りあい、課題を共有し、明日の授業づくりへの示唆を得ることが目的です。
· 初めて出会う参加者や、普段あまり語り合う機会がない参加者同士が交流を深めることができる点が本セッションの特色です。
· 事例報告は批判をしたり、研究者や管理職が指導をするために提案していただくものではありません。授業づくりの今日的課題の共有、これからの実践を相互に考えあうために、報告していただいています。
· 各実践の取り組みへの理解と受容を基本的姿勢として、
①報告者の悩みや課題意識を理解し、共有する
②事例報告や語り合いを通して、互いから学び合う
③批判し合うのではなく、改善点や解決策をともに考え合い、
建設的に語り合う
ことを参加者全員で共有し、探究する研究会にしていきたいと考えています。 参加者の皆様にはより深く語り合える場づくりへのご協力をお願いします。
· 各分科会に1名の進行役をお願いし、時間配分と会の進行をお願いしています。
ビデオ準備・設定のご協力のお願い
分科会中、パソコン等機材が「生き物」になることがあります。不調を訴えたり、機嫌を損ねることがあります。準備・設定等、みなさまのご協力をお願いいたします。各分科会部屋に設置しております機材は、当研究会の持ち込み機材です。終了後に忘れものがないか確認を皆さんでお願いします。
本セッションのねらいと願い
同じ授業(ビデオ)、子どもの発言でも、多様な見方や捉え方があります。本セッションでは、そのような多様性を、参加者が語り合い、交流することで見出し、そこから子どもの学びや授業づくりのあり方、可能性を建設的に検討していくことをねらいとしています。特定の指導法や教育方法の善し悪しやその一般論ではなく、その授業で見られた子どもたちの様子や過程から授業や学びについて考えることが本セッションの探究課題です。
報告された授業や授業者だけでなく、授業づくりに関わる参加者が授業づくりや子どもの学びを考える視点や課題を(再)発見できること、明日、今後の実践や研究に生きる何かを得る機会となり、それが本セッションの「お土産」になることを願っています。
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