メンバープロフィール

石橋 健太郎（ISHIBASHI Kentaro）

経歴：

・東京大学 大学院教育学研究科 特任助教 (2011.4 - 2012.3)
・東京大学 大学院情報学環 特任助教 (2010.10 - 2011.3)
・東京大学 大学院情報学環 特任研究員 (2008.11 - 2010.9)
・東京大学 大学院教育学研究科 総合教育科学専攻 研究生 (2007.4 - 2009.3)
・東京学芸大学 教育学部 非常勤講師 (2006.4 - 2010.3)
・名古屋大学 大学院教育発達科学研究科 心理発達科学専攻 博士課程（後期課程）単位取得退学 (2006.3), 博士（心理学）
・日本学術振興会 特別研究員DC2/PD (2005.4 - 2007.3)
・名古屋大学 大学院教育発達科学研究科 心理発達科学専攻 博士課程（前期課程）修了 修士（心理学）(2003.3)
・愛知県立大学 文学部 児童教育学科卒業 (2001.3)

研究テーマ：

専門は認知心理学です。美術領域での創造性について、思考や問題解決など高次認知の情報処理アプローチから研究しています。

研究内容 ：

研究内容を一言でいうと「外界からの影響を考慮した、創造・表現プロセスの解明」です。美術をはじめとする表現活動とは、それを通して表現者が自らの認識を形作り変化させていく営みといえます。同時にそれは、表現者が終始一人きりで行うものではなく、外界との相互作用や社会的状況のなかで、深く活発に生じる経験であると考えています。では、さまざまな人や作品との出会いを通して、私たちの認識はどのように変化し、次の新しい出会いの契機（作品）をいかにして生み出していくのでしょうか？　心理学の立場からこの問いに答えることが、私の研究のモチベーションです。現在は「他者からの刺激を受けながら人が独自の絵を生み出していく」という場面に焦点を当て、心理実験とプロトコル分析の方法論を主に用いながら、そこでの認知プロセスについて詳しく検討しています。

研究業績 ：

学術論文

・石橋健太郎・岡田猛 (2010). 他者作品の模写による描画創造の促進.　認知科学, 17, 196-223.

・Okada, T., Yokochi, S., Ishibashi, K., & Ueda, K. (2009). Analogical modification in the creation of contemporary art. Cognitive Systems Research, 10, 189-203.

・岡田猛・横地早和子・難波久美子・石橋健太郎・植田一博 (2007). 現代美術の創作における「ずらし」のプロセスと創作ビジョン　認知科学, 14, 303-321.

・石橋健太郎・岡田猛 (2004). 創造のための「芸術作品の知覚」経験: 模倣に焦点をあてて　認知科学, 11, 51-59.

・岡田猛・横地早和子・石橋健太郎 (2004). 芸術創作プロセスの理解に向けて: 認知心理学の視点　人工知能学会誌, 19, 214-221.

・布施光代・林幹也・石橋健太郎 (2003). 空間的情報の符号化方略における発達的変化: “Making Space” (Newcombe & Huttenlocher, 2002) から　名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要（心理発達科学）, 49, 217-226.

・石橋健太郎 (2002). 幼児期における図像表象の書き換えに関する発達的研究: 外的構成要因による効果の観点から　心理発達科学論集（名古屋大学大学院教育発達科学研究科）, 31, 9-20.

国際学会発表

・Okada, T., Yokochi, S., Ishibashi, K., Namba, K., & Ueda, K. (2007). Analogical modification in the creation of contemporary art. PICS: Publications of the Institute of Cognitive Science, University of Osnabrück, 5, 47-50. (Presented at Workshop on Analogies, the 29th Annual Conference of the Cognitive Science Society, Nashville, USA.)

・Ishibashi, K. & Okada, T. (2006). Exploring the effect of copying incomprehensible exemplars on creative drawings. In R. Sun (Ed.) Proceedings of the 28th Annual Conference of the Cognitive Science Society (pp. 1545-1550), Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

・Ishibashi, K. & Okada, T. (2004). How copying artwork affects students' artistic creativity. In K. Forbus, D. Gentner, & T. Regier (Eds.) Proceedings of the 26th Annual Conference of the Cognitive Science Society (pp. 618-623). Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

・Mitchell, B., Okada, T., Ishibashi, K., & Tohara, K. (2004). "Something old, something new, something borrowed (nothing blue)": Exploring "creativity" and "originality" in the 21st century. Proceedings of 2004 Hawaii International Conference on Arts and Humanities, Hawaii, USA.

・Ishibashi, K. & Okada, T. (2003). Can copying a new style of drawing relax students' constraints and facilitate their artistic creativity? Proceedings of Joint International Conference on Cognitive Science (ICCS/ASCS), Sydney, Australia.

・Ishibashi, K. & Okada, T. (2003). A case study of students' creative drawing with copying experience. Proceedings of 2003 International Symposium on Cognitive Approaches to Creative Processes, Gifu, Japan, SIGLAL 2003-1, 68.

・Okada, T. & Ishibashi, K. (2003). Creativity by copying: How examples inspire innovation. Proceedings of 2003 International Symposium on Cognitive Approaches to Creative Processes, Gifu, Japan, SIGLAL 2003-1, 36-40.

国内学会発表

・石黒千晶・岡田猛・石橋健太郎 (2011). 他者作品模倣が初心者の写真創作に及ぼす影響　日本認知科学会第28回大会発表論文集, 213-222.

・石橋健太郎・岡田猛 (2009). 他者作品は美術の創造をどうインスパイアするか：作品の親近性および関与方法の効果　日本認知科学会第26回大会発表論文集, 48-51.

・中西紹一・新井田統・森玲奈・石橋健太郎・山内祐平 (2009). アイデア創発型ワークショップのデザインと評価方法の検討　日本教育工学会第25回全国大会講演論文集, 659-660.

・石橋健太郎 (2008). 他者作品の模写を通じた創造的描画表現の生成（自主シンポジウム「『本物』の中で学ぶ─芸術教育における学びの意味と可能性─」 企画・話題提供） 日本教育心理学会第50回総会発表論文集, S50-51.

・石橋健太郎 (2006). 不可解な他者作品の模倣が創造的描画活動に与える影響（ワークショップ「他者を通じた自己パフォーマンスの深化：認知科学的アプローチによる検討」 企画・話題提供） 日本心理学会第70回大会発表論文集.

・石橋健太郎・岡田猛 (2003). 創造過程としてみた「芸術作品の知覚」経験　日本認知科学会2003年冬のシンポジウム「知覚と創造」発表論文集, 18-26.

・石橋健太郎・岡田猛 (2003). 創造的描画活動における模倣を通じた「写実的制約」の緩和効果　日本認知科学会第20回大会発表論文集, 56-57.

・石橋健太郎 (2003). 幼児期における図像表象の操作柔軟性に関する発達的研究(2): 回転操作の影響を考慮した構成方略の分析　日本発達心理学会第14回大会発表論文集, 287.

・石橋健太郎・加藤義信 (2002). 幼児期における図像表象の操作柔軟性に関する発達的研究(1): 課題の構成要因が及ぼす効果の分析　日本発達心理学会第13回大会発表論文集, 282.

受賞等 ：

・日本認知科学会論文賞（岡田猛氏との共著）(2011)
・日本認知科学会論文賞（岡田猛氏・横地早和子氏・難波久美子氏・植田一博氏との共著）(2008)

ひと言 ：

中学高校時代は音楽に明け暮れていました。思考のプロセスを追いかけることは、音に耳を傾けることにも似ています。もちろん、日々の「生演奏」はその場限りで、せいぜい楽譜に起こすぐらいしかできませんが…。研究を通じて、人間が奏でるもうひとつの音楽を、味わい、その構造を理解する試みを楽しんでいけたらと思っています。