〜特別支援教育の掲げる理念「障害のある児童生徒一人ひとりの教育ニーズに応じた適切な教育支援」の実現のために〜 |
軽度発達障害と括られる子どもたちと私たちとの境界線はどこにあるのでしょうか。もちろん、個々の障害には定義があり、検査の結果障害と判断され、障害故の特別な支援を必要とします。その判断は大事です。けれども、「その子の能力を最大限に伸ばしてあげるには」という考え方自体は、どの子どもにも共通しているはずです。私たちが特別支援教育を考えていく際に、まずそのことは忘れてはいけないでしょう。 その上で、とても必要なのが、その障害について知識を持つことです。軽度発達障害に関しては、こだわりが強かったり、ある特定の分野でのみ著しく呑みこみが遅かったりといった症状のため、わがままな子だとかやる気がない子だとか、誤った受け止められ方をし、苦労している子どもは多くいるはずです。支援する人々が軽度発達障害とはどんなものなのか、それには特別な支援が望ましいのだ、ということを知っていれば、その子のニーズに適切に応えた教育・支援を工夫してみることができます。症状や状態は子どもによって様々に異なるため、「この障害にはこの対処がいいのだ」などというマニュアルは存在するわけもありませんが、教師その他周囲の人々の工夫次第で、障害のある子どもたちは十分に学校に適応できるのです。 学校や地域の支援体制の整備なども進められるべき課題ではありますが、一般の人々にもできることがあるのではないでしょうか。まず、障害の知識を得ること、そして、実際にそういった子どもと出会ったら、周囲でよく連携しその子の苦手を補い能力を引き出してあげるための工夫を見つけていくこと。この2つを意識、実践していくことで、支援され救われる子どもがいるのではないでしょうか。 |