博物館へ行こう! 本文へジャンプ
まとめと感想

◇HPづくりから学んだこと


多様な博物館の存在


HPづくりにあたって、ターゲットとなる人びとが行きたくなるような博物館を調査した。そして,調査の際,私たちが行きたい博物館を中心に調べていったが,その博物館には種類に偏りがあることが指摘された。私たちの調べていった博物館はいわゆる国立,公立の博物館や,財団法人の運営する博物館がほとんどで,企業が運営する博物館などは考慮して来なかったのである。
なぜ考慮しなかったのか,まとめとして考えてみると,いくつかの理由が考えられる。
まずひとつには,私たちが調査した国立,公立,財団立などの博物館は展示をはじめ,ワークショップ,学校教育との関連,ボランティアの育成など,教育活動を積極的におこなっており,調査対象として分かりやすかったということがあげられる。
「理論編」で述べたように現在の博物館の動向として,教育活動に重点をおく傾向があり,そのような博物館には足を運びやすいと考えられる。
それに対し,企業博物館は,企業イメージの向上のため,企業メセナとして,運営されるような博物館が多く,教育活動を積極的に行う博物館に目がいかなかったのだろう。

もうひとつの理由は,その企業博物館の性格である。
企業博物館はさきほどのべたとおり,企業イメージの向上を目指すと思われるものから,教育活動に熱心なものまで実にさまざまな性格のものがあり,国立や公立に比べ,ひとつにくくることは難しい。そのため,公立博物館 私立博物館 企業博物館などと分類することでかえって個々の企業博物館の性格が見えなくなってしまったと考えれる。


博物館の教育施設としての認知


次にこのHP「博物館に行こう」を作る中での感想を簡単にまとめたい。
このHPは東大教育学部の市川先生の演習で,総合的な学習の時間の学習に資するようなことを目的に作成した。「博物館へ行こう」は博物館での学習を促進することを目指したが,作成段階で何度も感じたことがある。
それは「博物館が教育施設として認知されていない」ということである。
教育といえば,やはり学校教育が中心と考えられていることはいうまでもないが,学校教育だけが教育の機会であるわけではない。社会の様々な場面で教育の機会は存在しており,なかでも学校教育に並んで組織化されている教育の場として,図書館などとならび,博物館があげられる。
しかしながら,HP作成段階においては,いくつかの機会で,博物館を娯楽施設としか認知していない人も多いことに気付かされた。東京ディズニーリゾートなどと同じ娯楽施設として博物館をみた場合,自分の普段の生活とはまるで関係のない展示資料(絵画や遺跡の出土品など)を鑑賞することよりアトラクションでスリルを味わうほうがよほど楽しいかもしれない。
しかし,博物館を教育施設としてみた場合,学校教育が提供できないような学習活動がそこにはある。そのような学習活動を紹介し,多様な学習機会にきづいてもらうことを企図してこのHPを作成した。

このHPを見た方々が博物館に足を運んでくださったなら,私たちの目標は達成されるだろう。

岡庭俊和
広津侑実子
山口裕介