学校教育との連携 |
博物館における教育は学校の教育と関係がないと考えている人も多いようです。しかしながら、博物館は学校の教育とも密接に関係しています。
学校教育の側からは、文部省(現文部科学省)による小学校学習指導要領解説 総則編(1999)の、「総合的な学習の時間の取扱い」の中で、「地域には公共図書館や博物館などの学習機関、様々な企業や工場、団体などがある。(中略)豊かな学習活動を展開するには、これらの地域の人々の協力を得るとともに地域の学習機関、学習環境などを積極的に活用する必要がある。」と述べられており、学校教育では、総合的な学習において、博物館などの学習機関が重要な役割を果たすと考えられています。
また、博物館法第3条では、博物館は「学校、図書館、研究所、公民館等の教育、学術又は文化に関する諸施設と協力し、その活動を援助すること。」とし、加えて「博物館は、その事業を行うに当つては、土地の事情を考慮し、国民の実生活の向上に資し、更に学校教育を援助し得るようにも留意しなければならない。」としています。つまり,博物館の側も学校教育と連携しようという理念があるのです。
このように、学校教育と博物館の教育は連携し合うべきだと考えられていることがわかります。では、具体的にはどのような形でこの二つの教育機関は結びついているのでしょうか。
まず、学校教育では以前から社会見学等で、子ども達を博物館へ連れて行き、見学させるという活動が行なわれてきました。現在でも多くの小学校、中学校でこのような活動が行なわれていると思います。これは、博物館側から学校へ働きかけてきた結果といえます。
さらに最近では、学校側からも博物館へのアプローチが始まっています。その結果、博物館が学校へ出向き、「出前授業」をするという試みも行なわれています。この中では、学校教員と博物館の学芸員が協力し合い、学校教育と博物館の教育の融合が図られています。
このように、過去から現在に至るまで、博物館の教育と学校の教育は互いに関係し合ってきました。そして、特に最近では、総合的な学習に向けて、この二つの教育機関はさらに強い結びつきを持つようになってきています。
《参考文献》
文部省 「小学校学習指導要領解説 総則編」 1999
長嶋雄一 「博物館と学校」『インターネットミュージアム』No.49 最終アクセス2007年7月18日
www.museum.or.jp/IM/report/pdf/MD52-49.pdf
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