地域博物館 |
地域の博物館に行ってみよう!
皆さんは地域博物館と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
地域にある博物館?
確かにそうなのですが、ここでいう地域博物館とは、「地域に根ざした博物館活動を行う博物館」ということです。
しかし、これではあまりよくわかりませんからもう少し詳しく見て行きましょう!
1960年代、高度成長に後押しされ博物館の設置が相次ぎます。この中には地方自治体が設置した多くの公立博物館が含まれていました。
これらの博物館はそれぞれに設置の目的がありますが、国家レベルの博物館とは違い、それぞれの地域史の解明、地域文化の向上、地域の環境保全など地域に根ざした博物館活動を行い、それらの活動が広く市民に開かれているという特徴があります。
浜口哲一はごくたまに訪れる国家レベルの博物館である「遠足博物館」に対し、市民が普段の生活の中で何回も足を運んで展示を見たり、行事に参加するような市民に日常的に開かれている博物館を「放課後博物館」と呼びました。
いわば、国家レベルの博物館がおしゃれをして行く博物館なら、地域博物館は普段着で行ける身近さを有しているといえるでしょう。
この地域博物館の活動はどのようなものでしょうか?
地域博物館は、地域資料の収集・整理、調査・研究、展示・普及・教育を基本的な機能としており、これらは地域文化の向上、地域の歴史・文化の保存、地域環境の保全などを目的として行われているのです。
そして、地域博物館はこれらの活動の中で、地域住民に生涯学習の機会を提供することを目的としたさまざまな活動を行っています。
ここで一例として、長野県の飯田市美術博物館をあげてみたいと思います。
飯田市美術博物館は長野県の飯田市にある市立博物館です。
名前の通り、美術系、歴史系、自然系の各資料を有する地方の総合博物館です。
この博物館では、美術部門は飯田地域にまつわる芸術家の作品を、歴史部門は飯田地域の歴史遺産を、自然系は飯田地域に関係する動植物標本や鉱物標本を、それぞれ収集・研究しています。
中でも、ここで注目したいのは自然部門の活動です。自然部門では、「伊那谷自然友の会」という制度を設けて地域の自然分野の研究家たちと交流をもち、共同活動を行っています。
例えば、地域の生態系を壊すといわれているアレチウリという植物の分布をともに調べ、その駆除活動を行っています。
友の会制度は多くの博物館で導入されている市民の博物館活動への参加の道ですが、それぞれの地域博物館では、目的の違いにより違いはあれど、地域に根ざした活動を行い、その活動を市民に開き、市民と協同しようとしているのです。
参考文献:山本珠美「博物館の利用」鈴木眞理編集『改訂 博物館概論』2004,樹村房
:浜口哲一『放課後博物館へようこそ-地域と市民を結ぶ博物館-』2000,地人書房
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