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博物館の現状



これまでの説明で、博物館はどういうものか、博物館はどのように生まれてきたのか、ということが分かってきたと思います。

それでは、現在ある博物館は、どのような位置付けになっているのでしょうか?

法律上は、「社会教育のための機関」であるという風に定義されています(社会教育法第9条)。つまり、普通の学校と同じように、何かを「学ぶ」施設なのです。

また、社会的には、図1のように位置付けられています。(山本,2004(5-1図))つまり、ただ単体で存在するのではなく、いろいろな人や機関とつながって存在しているのです。



以上は、博物館学や教育学などでの考え方です。

しかし、現実はどのように、博物館は見られているのでしょうか?

日本博物館協会が編集した『日本の博物館の現状と課題(博物館白書平成11年度)』では、「外国の館との交流に欠けている」、「大学や研究機関との連携が不足している」、「市民のニーズに応えていない」、「地域との関係が希薄」などの問題点があげられています。

一方、博物館の主な利用者である、私たちは、博物館をどのように感じているのでしょうか?

水藤(1998)によると、建物や立地がいい、書物とは違って物に触れられるといった包括的な面では満足しているようですが、反対に、1日では全部回りきれなかった、物が置いてあるだけですぐに厭きた、混雑していてゆっくりと見られなかった、開館時間・期間が短い、といった個別的な側面で不満に思っている点が多々ある、ということでした。また、小・中学校での社会科見学で無理矢理連れて行かされて、いい思い出がない、と語った人もいるようです。


あまり理想に至っていない、という現状があるようです。



《参考文献》
水藤真 1998 博物館を考える−新しい博物館学の模索 山川出版社
鈴木眞理編集 2004 博物館学シリーズ1『改訂博物館概論』 樹村房
山本珠美 2004 第5章 社会的存在としての博物館 鈴木眞理編 博物館学シリーズ1『改訂博物館概論』 樹村房