健常児による障害者擬似体験(実践)
1.「山の学校」について
2003年8月17〜22日にかけて私(鎌田)が講師としてアルバイトをしています学習会テータ
という塾(URL http://www.theta.gr.jp E-mail theta@sea.plala.or.jp)主催で毎年恒例の「山の学校」という企画を福島県
西郷村の「国立那須甲子少年自然の家」で開催します。
どういうものかというと、小中学生対象でさまざまな理科実験をしたり自然で遊んだり
ロボットを作ったり食べ物を作ったり踊ったりと、自分で見て触って作って体験していろ
んなことを感じてもらおうという、五泊六日の体験学習会です。ちなみに並行して「サマースクール」
という中高生を対象にしたハードな勉強会も開かれます。
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2002年度 山の学校より 「ロウ型取り錫鋳物」で手の形や、 様々なキャラクターの人形をつくっている所。 参加者は健常児 |
2.私(鎌田)の担当について
各講師には、自分の専門分野に見合った様々な実験・イベントの時間が割り振られ、担
当として企画をします。そこで身体教育学コースに在籍する私は身体を動かすことを子供たちとし
たいということで、ミニ運動会のようなものの時間をもらったわけです。
自分自身スポーツをするのも大好きだし、スポーツ科学も学んでいるので純粋にいろん
なスポーツを子供たちとする時間を提供しても良かったのですが… これから成長してい
く子供たちにこそ障害者理解の心が大切だと思い、障害をもつという体験を通じて
理解できるような企画にしよう!ということで、様々な障害を無理やりもたせて(例え
ば目隠し)障害者と同じ条件でスポーツをさせることにしました。ちなみに今年の山の学
校のテーマは今年が誕生日ということもあり、「鉄腕アトム」。だから私の企画の主
旨は、「ヒトの身体は一つの機能が欠けただけでもいろんな行動が困難になることを自分の
身体で理解し、アトムのようなロボットをつくることの難しさ、ヒトのすごさを感じてほ
しい」という所にもあります。
片目だけ隠したとしても遠近感が衰えるわけですから、例えば野球は非常に難しくなります。
しかし子供たちはそんな中でも必死に打ち、捕ろうとするでしょう。私も絶対ムキにな
ります。そんなことを通して、たとえ障害をもっていてもスポーツをしようとする気持
ち、ひいては生活や様々な活動の場において何をするにも、障害者と自分たちには何の違
いもない、ただ自分たち健常者に協力・理解の心が欠けていたのだということを身体で感じ、
ずっと心に焼き付けていてほしい…。そんな気持ちです。
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2002年度 山の学校より 最後の夜に行われたキャンプファイヤー 生徒、講師ともに思い思いに踊る 参加者は健常児 |
3.企画名について
最初はミニ運動会という企画名だったのですが、個人的に、運動会というとどうも学校
に決められたやりたくもない競技のオンパレードというイメージが強いので、スポーツと
いう言葉に変えたく・・・「バリアースポーツ」という名前に統一してもらいました。
なんじゃこりゃ? でしょう…
・バリアフリーでないスポーツ
・スポーツのネタはあらかじめたくさん用意しておくので、その場で子供たちに何をしたいか
選ばせる
・ただし、それぞれに様々な障害をもたせる
・障害はくじで決める。みんな本当は同じ、ただ運命が異なっただけ!というのを実感で
きるか
・上ゆえに、協力・助け合いの心が生まれるか・・・
・人の動きの複雑さ(一つでも機能が欠けると難しいこと)を知る。アトムのすごさ。
・言葉で想像できるようなものは知ってる、分かってると勘違いしやすい。身体を使い初
めて実感できるものを目指す。それが心にも染みつく。
マスコミの何でも造語を作って一般人に誤ったイメージを与えることを非常に嫌う(たと
えばバリアフリーにしたと言うだけでもう障壁の問題はなくなったかのように勘違いして
しまう時などないでしょうか…)私としては心苦しいので、この言葉を多用したくはないの
ですが、小学生にインパクトを与えるにはマスコミと同じ方法論がなりたつわけで・・・
採用することに決めました。
「言葉で伝えても、言った方の満足にはなっても受け取る方の心に残るかは分からな
い。ようするに薄っぺらい教育になる。子供たちがどう受け取ってくれるのか、社会の障壁の理解に
つなげることができるのか、また、楽しんでくれるのか・・・」といった心境です。
この企画についての報告はできれば後々アップする予定です。ビデオも撮影予定。