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9月8日(木)(13:00〜15:00)
◆<J1>宿泊型ワークショップを質的・量的方法を用いてプロジェクト研究するための工夫
<企画>
谷井 淳一 (帝京平成大学)
<話題提供>
谷井 淳一 (帝京平成大学)
山川 法子 (名古屋大学大学院)
坂本 將暢 (名古屋大学大学院)
<指定討論>
無藤 隆 (白梅学園大学)
企画趣旨
これまで,学校外教育の分野で実施されている,子ども対象のワークショップに関する評価研究は多く行われていない。今回,国立青少年センターが主催する,ダンスや太鼓や演劇に関する表現活動に関するワークショップを質的,量的両面から,4人の研究者と9人の大学院生がプロジェクトを組んで,研究に取り組んだ。その成果および方法論について紹介し,みなさんと議論を行いたい。谷井がまず,ワークショップの全体の流れと主な研究成果について説明する。坂本は,名古屋大学と東京の研究者が共同研究するために情報共有手段として用いたシステムを紹介する。山川は,特定の子どもの成長プロセスについて紹介する。最後に無藤がこの研究の意義と特徴について指定討論を行う。
◆<J2>「障害とともに生きる」ことを博士論文として書く:脊髄損傷者が語るライフストーリーの研究から
<企画>
田垣 正晋 (大阪府立大学)
<講演>
田垣 正晋 (大阪府立大学)
<指定討論>
サトウタツヤ (立命館大学)
企画趣旨
本企画の目的は、障害者が障害を持ちながら生きることを博士論文として書いていくことをメタ化して、障害者分野の質的研究のあり方を検討することである。企画者の博士論文「中途肢体障害者における「障害の意味」の生涯発達的変化−脊髄損傷者が語るライフストーリーから」を題材にする。研究のアウトライン、すなわち、1.身体障害者を理解する方法としてのライフストーリー研究の意義、2.脊髄損傷者が語る障害の意味の長期的変化、3.「元健常者」としてのライフストーリー、4.障害の意味の長期的変化と短期的変化の比較研究、5.まとめとライフストーリー研究の今後の課題、という章構成と各々の概要を報告する。本論文は、いくつかの既刊論文を再構成したものであるので、その構成に際しての視点も報告する。これから博士論文を書こうとする研究者の方々に参考になることを願うと同時に、質的研究を生成させるプロセスの言語化を試みたい。
◆<J3>「質的」を標榜することで見られる夢は何か
<企画>
上淵 寿 (東京学芸大学)
<話題提供>
伊藤 哲司 (茨城大学)
五十嵐靖博 (山野美容芸術短期大学)
本山 方子 (奈良女子大学)
<指定討論>
やまだようこ (京都大学大学院)
企画趣旨
近年、質的研究への同調者の増加によって、第一世代(学会を牽引する世代)の夢はかないつつあるかのように見える。確かに、学問の成立自体は、科学史を繙けば、学問自体の思想的基盤の変化に則るというより、それに同調する人の多少によって支えられることもある。しかし、「夢」の内実は、世代によって、領域によって、人によって異なっているのではないだろうか。例えば、行動主義的な学習心理学実験が、心理学の訓練の中核として存在した時代がある。このような訓練は、主に第一世代の人々にとって、ライフ・ストーリーの中にある「心理学」概念に取り込まれている。一方、それよりも若い世代で行動主義的心理学訓練を受けていない人々にとって、「質的」は所与の領域である。彼らの夢はそれ以前の世代の夢とはかなり異なり、「質的」を語る前提が異なっている。こうした「夢」の違いは、質的心理学が今後、展開されていく過程で、新たな問題や分裂を引き起こすことになるのではないか。では、「質的心理学」という領域が可視化されることによって、何が変わり変わらないのか、何が期待でき期待できないのだろうか。心理学や社会、歴史(心理学史を含む)といった大きな枠との関係や、日常や実践という微視的な状況との関係などを念頭に、話題提供者には、夢見ることの意義や実現可能性などについてお話しいただきたい。
◆<J4>質的研究におけるアブダクションを考える
<企画>
西山 悦子 (新潟大学)
<話題提供>
高木 廣文 (新潟大学)
竹村 真理 (新潟大学)
西山 悦子 (新潟大学)
企画趣旨
看護学の領域において,質的研究への期待は大きく,質的研究による原著論文も増えてきた。また,その成果のエビデンスに関するディスカッションも学会等で取り上げられるようになってきた。しかし,質的研究では収集したデータから中核的なカテゴリー,概念などを思いつかなければ,それも多くの人が納得し,モデル構築がうまくできなければ,その研究は本当に完成したことにはならないだろう。アブダクションについては,研究の過程で自然に浮かび上がるとか,もともと自分の中にあるので発見できるなどいわれているが,その機序については不明な点が多い。重要なアイデアや概念が何もないところから生まれるのであろうか。それとも、アブダクションにもある種の法則のようなものがあり得るのだろうか。本シンポジウムでは,実際に研究を行っている研究者から,自分の体験に基づく情報を提供していただき,質的研究におけるアブダクションの問題について広範な討論を行いたい。 |
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