現在の子どもたちが外遊びでなくテレビゲームをする傾向が強いことを受けて、外遊びの意義を考えてみたいと思う。

効用
@協調性・社会性の発達
仲間が集まると、まず何をして遊ぼうかと相談し、場所を探す。その場所にあわせて最も楽しく遊べるように皆で意見を出し合ってその日のルールを作る。
草野球をする場合、人数が少ないときには透明ランナーを使い、場所が狭いときには三角ベースにする、弱い子はかくれんぼで見つかっても一回目は鬼にならなくてもいいとか、野球では三振無しなど、大人が一切関わらなくても自由で合理的なルールを作り出しそれを守るのである。
遊びの中では、決め事、勝ち負けをめぐってちょっとした口論やけんかもしばしば起こるが、それを周りの仲間がなだめたり、うまく仲裁して、遊びを続ける。そうした一つ一つの遊びの中での体験を通じて社会で生きていくのに必要な人間関係のつくり方、協調性、我慢などを学ぶのである。

A身体の発達
外遊びは巧みな動作(走る、跳ぶ、投げる、打つ、蹴る)を遂行するスキルを身につけるために重要である。
たとえば、ビー玉あそびは物を正確に狙い当てる動作、竹馬遊びは身体のバランスを取る動作、缶けりは素早く走る動作と物を正確に遠く蹴る動作などが含まれている。
また、その中での負荷は子どもの身体に決して無理のないような質・量が設定されている。
スキャンモンの発達模式図によると神経系は八歳までに急激に発達し、十歳までに成人の96%に達する。つまり子ども時代の運動環境により運動に対する器用さ不器用さが決まるといえる。

まとめ
以上で見たように子どもの外遊びは心身の発達のために重要である。しかし、遊びの空間・時間・仲間が不足してきており、その結果、外遊びをしない子どもたちが増えているのだろう。その中、でスポーツ教育産業が発達してきているが、ある種それは義務となってしまうので遊びの持つ心の発達へ与える影響を補完しているとは言いがたい。これからはいかに子どもが遊ぶ環境を確保していくかということが重要な課題であると考える。

最後に
現在、我々は「外遊び」サークルをたちあげ、活動している。
かくれんぼなど昔ながらの外遊びを再びしてみたいという欲求を持ちながら、自分の友達だけではなかなか人数が集まらない、するなら大勢でしたいという動機で、身体教育学コースの現四年生が中心となり結成された。
地域ごとの日曜草野球のような、参加を強制されず、お金もかからないスポーツ・遊びのコミュニティの増加が外遊びをしたいけどできない状況にある子どもたちへの助けとなるのではないだろうか。


参考文献 深谷昌志 深谷和子「子ども世界の遊びと流行」 1990 大日本図書
       J.ピアジェ 「遊びと発達の心理学」 1987 黎明書房