東京大学|大学院教育学研究科・教育学部 東京大学|大学院教育学研究科・教育学部

140207-5

バリアフリー教育開発研究センター

バリアフリー教育開発研究センターについて

「バリアフリー」とは,障がい者や高齢者にとっての「物理的バリア」の解決法を指すのみでなく,各種疾病,身体的特徴,出自,地域,言語,人種,民族,宗教,文化,国籍等を要素として生み出されるさまざまの「心のバリア」や「文化的・社会的バリア」を解明してこれに積極的に取り組み,人間の多様性に対して寛容な,だれにとっても住みやすい社会のあり方を探求するものであり,各種の障壁を内包している社会の現状や人々の考え方の変革を目指すものである。

センターの目的


バリアフリー教育プログラム授業風景

教育をバリアフリーの観点から見直すと共に,バリアフリーを教育研究の領域において推進するという二つの軸を持つ。

第一には,バリアフリーは,福祉・医療・建築・社会保障制度等の課題であるに限らず,学校の児童・生徒・学生や教師,教育行政に携わる者をはじめ,一般社会人が本来学習して身につけておくべき基礎的知識であり市民的教養であるという,教育に関する新しい認識を提示する。

第二には,障がいのある児童・生徒・学生への就学・学習支援という教育活動に留まらず,一歩進めて,バリアフリーの理念と思想について深い理解を持ち,バリアフリー活動に積極的に取り組み,かつ,グローバルな視野を備えたそういう人材の育成を図り,そのための教育カリキュラムの研究開発を行う。あわせて,東京大学における学生へのバリアフリー教育を推進し,東京大学をバリアフリーキャンパスとするための教育研究支援の拠点となることを目指す。

組織について

  1. 東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターとして,2009年4月1日に発足し,2010年4月1日に,附属施設として全学的機構図の中に正式に位置づけられた。
  2. 同センターは,センター長1名,副センター長1名,センターの専任教員1名,研究科内教員4名(兼任)の7名の教員等で構成される。
  3. センター長を委員長として運営委員会をもうけ,センターの運営にあたる。
  4. 本学教員(附属中等教育学校を含む)の内から研究員(若干名)を,また国内外の他大学・研究機関と研究関係機関(教育委員会,国公立私立諸学校,教育・福祉・スポーツ等に関する機関等)の教職員,あるいはそれと同等の資格を有すると認められた者の内から協力研究員(若干名)を選任する。
  5. 学生・大学院学生らとの日常的連携・協力を積極的に図るものとする。
  6. 場所は,赤門総合研究棟324号室および326号室とする。

  • 公開ワークショップ (2016年10月)

センターの活動

〇シンポジウム等

2017年
  • 公開シンポジウム『共生社会を拓くパラリンピック教育』
2016年
  • 公開シンポジウム『「合理的配慮」を活かすコミュニケーションとは――組織の多様性が生み出す価値について考える』
  • 公開シンポジウム『「共生社会を拓くパラリンピック教育」』
  • センター主催公開研究会『「性の多様性」授業における「学び」とは?――クィア・ペダゴジーの意義と課題』
2015年
  • 公開シンポジウム『発達障害と合理的配慮 ―高等教育における「イコールアクセス」を考える―』
2014年
  • 公開シンポジウム『最新テクノロジーとバリアフリー ―発展に向けての可能性と留意点―』
  • 公開シンポジウム『発達障害を抱えた若者の就学・就労を支援する ―バリアフリーの観点から何ができるか―』
  • 公開シンポジウム『教科書とバリアフリー ―インクルーシブな社会のための教育の課題―』
2013年
  • 公開シンポジウム『ICTが拓く心の健康イノベーション』
  • 公開国際シンポジウム「日米共同開発『考え込み防止』
  • 認知行動療法による折れない心を育てるWeb研修サービス」
2012年
  • 公開シンポジウム『社会で取り組むうつ病の予防と回復』
2011年
  • 国際シンポジウム『人と人との間のバリアフリー』
2009年
  • 市民公開フォーラム『教育のバリアフリー、そしてバリアフリーの教育』

〇教育

2011年4月から東京大学における学部横断型教育プログラムとして『バリアフリー教育プログラム』を始動させた。バリアフリー研究の成果に基づいて、誰もが生きやすい社会を創ろうと構想し実行する若い人々との協働の場を広げることを目指している。


  • 公開シンポジウム (2016年12月)

星加 良司(ほしか りょうじ)講師(社会学・障害学)

星加 良司(ほしか りょうじ)
講師(社会学・障害学)

私は2009年10月より,同年4月に教育学研究科に新設された「バリアフリー教育開発研究センター」に着任しました。専門は社会学で,社会現象としての「障害」を分析するための理論モデルに関わる研究,アファーマティヴ・アクションの社会的効果や規範的妥当性に関する研究,障害研究における「当事者性」の意味と可能性に関する研究等を行っています。

障害を社会現象として把握すると,実は障害者の経験する不利益や困難の多くが,特定の状態を規範(norm)からの逸脱と見なし「異常(abnormal)」なものとして規定する社会的な名付けの過程を通じて,また特定の人々のライフチャンスを制約し不利益を増幅させる社会構造を通じて生じるものであることが見えてきます。

こうした様々な社会的要因を研究の俎上に乗せることによって,障害者を含む様々な社会的マイノリティにとって生きやすい社会を構想するための豊富な選択肢について検討することが可能になります。

この観点から見ると,従来の「バリアフリー」の研究と実践は,やや偏った前提の上に成り立っているという側面があります。多くのバリアフリーの研究/実践は,あらゆる人々が既存の社会的な価値や規範にアクセスできるようにするための手段を見出そうとするものであり,そうした価値や規範のあり方自体を問い直そうとするものではなかったのです。

この点に無自覚であったために,バリアフリーの研究/実践がかえってバリアを増大させるといった意図せざる結果も生まれてきています。

以上を踏まえて,この領域の「常識」をあえて疑いつつ,多角的な視点からの「バリアフリー」の教育研究を進めていければと考えています。

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